ずっと気になる歯の黄ばみ…もしかしたらエナメル質形成不全かも!
監修:歯科医師 高島 光洋
「子どもの時から歯の黄ばみが気になっている」
「歯磨きを頑張っているのに改善しない」
そんなお悩みを抱えていませんか?歯の変色にはさまざまな原因がありますが、ブラッシングを工夫しても変化が見られない場合は、生まれつき歯の表面がうまく形成されない「エナメル質形成不全」である可能性が考えられます。
今回は、生まれつき歯が黄色や茶色に変色する「エナメル質形成不全」について解説します。
「エナメル質形成不全」以外の歯が黄ばむ原因についても一緒に解説しておりますので、ぜひご参考ください。
1.物心ついた時から歯の黄ばみが気になっている方へ
1-1 エナメル質形成不全とは
2.エナメル質形成不全以外で歯科治療が必要な歯の黄ばみ
2-1 ①薬剤による影響
2-2 ②フッ素による影響
2-3 ③詰め物の劣化
2-4 ④神経へのダメージ
3.歯科医院のクリーニングで除去可能な歯の黄ばみ
3-1 クリーニングを行っても黄ばみが気になる時は
3-2 日々のケアで黄ばみを予防するためには
4.お口のお悩み、どんなことでもご相談ください!
物心ついた時から歯の黄ばみが気になっている方へ
歯の黄ばみと言えば、着色や虫歯など後天的な原因を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、実は生まれつき歯が黄色や茶色の状態で生えてくる「エナメル質形成不全」が原因になっているケースも少なくありません。
エナメル質形成不全とは
歯の頭(歯冠)の表面はエナメル質で覆われており、その内部には象牙質、そのさらに内部には歯の神経(歯髄)が通っています。
エナメル質は、体の構造の中で最も硬い組織で、歯を外部の刺激から守る役割を担っています。
◇症状
「エナメル質形成不全」とは、エナメル質の形成過程で何らかの問題が発生して形成が阻害され、エナメル質が正常に形成されていない状態のことです。
軽度から重度まで症状はさまざまで、軽度の状態では生まれつき歯が黄〜茶色がかったような状態で生えてくることがあります。重度の状態では、くぼみがあるなど歯の表面に凹凸が見られます。
◇原因
原因は、歯が顎骨の中で形成される胎児~乳幼児期に起こりうる栄養障害や早産、胎児期の母親の抗生物質服用などが考えられています。
また、永久歯のエナメル質形成不全は、栄養障害、感染症、乳歯の虫歯の進行、転倒や衝突による歯へのダメージが原因となることがあります。
◇影響
エナメル質の形成が不完全な状態なので、虫歯リスクが高まりやすいです。
また、歯の表面が黄色~茶色っぽくなるため、審美面に影響を及ぼすことがあります。
◇発生率
日本では、7~9歳の子供のうち5~10人中1人の割合(10~20%)でエナメル質形成不全が発生しています。
◇治療方法
エナメル質形成不全症は、エナメル質がうまく形成されていないため、正常な歯より虫歯になりやすいです。
▶フッ素塗布やシーラント
軽度の状態で見た目が気にならない場合は、積極的に治療を行わず、定期的なフッ素塗布やシーラントを行うことで虫歯を予防しながら経過観察をします。
▶コンポジットレジン治療
歯が欠けていたりくぼみがある場合は、プラークが蓄積しやすく虫歯のリスクが高まるため、コンポジットレジン(歯科専用レジン)を詰めて、専用の光を照射して固めます。
欠けている場合は、歯の形を整えるために少し削ってから処置を行います。
▶被せ物
重度の症状や見た目が気になる場合は、型取りを行い被せ物を作製して、歯全体を覆う治療を行います。
エナメル質形成不全以外で歯科治療が必要な歯の黄ばみ
- 薬剤による影響
- フッ素による影響
- 詰め物の劣化
- 神経へのダメージ
などが、歯の黄ばみの原因になっていることがあります。項目毎に症状と治療方法について解説します。
①薬剤による影響
1960~1980年代に使用されてい「テトラサイクリン系抗生物質」を長期間服用されていた方は、歯が黄ばんだり、灰色っぽいような色になったりすることがあります。昭和40年代の方で多く見られます。
「テトラサイクリン系抗生物質」を歯が形成されている時期に使用すると、薬の成分が歯内部に沈着することで、歯を変色させてしまいます。そのため、永久歯の形成時期である8歳未満の子供や妊婦への使用は原則禁止となっており、使用できるのは9歳からです。
また、現在使用されているミノマイシン(ミノサイクリン)や貧血の症状などに使用される鉄剤、ポピドンヨードが成分に含まれているうがい薬も、歯が黄ばむ原因になることがあります。
【治療方法】
テトラサイクリン歯の見た目を改善する治療は審美目的とされるため、自費診療になります。もしテトラサイクリン歯が虫歯になった場合は保険診療が適用されます。
▶ダイレクトボンディング
歯の表面を削ったあと、コンポジットレジンを塗布して、専用の光を照射して固めます。1歯30分程度、即日で終了します。
▶被せ物
歯を削って形を整えた後、型どりを行い、作製された被せ物を歯に被せます。被せ物にはいくつか種類があるので、歯科医院で相談しご自身に合った物を選びましょう。
▶ラミネートベニア修復
歯の表面を薄く削り、薄い板状のセラミックを歯科専用の接着剤で貼り付けます。型どりを行って歯の形に合うように作製します。
自費治療になりますが、自費治療の被せ物より費用は低価格です。
▶ホワイトニング
軽度の場合はホワイトニングで改善できる方法もあります。ホームホワイトニングよりもオフィスホワイトニングの方が効果が出やすいです。
②フッ素による影響
フッ素には虫歯を予防する効果があり、これは学術論文などでも証明されています。アメリカでは「水道水フロリデーション」と言って、適切な濃度のフッ素を水道水に添加することで虫歯予防を進めようとする取り組みも行われています。この取り組みは、イギリス、スペイン、ブラジルなどでも行われています。
しかし、永久歯が形成されている時期である8歳未満の子どもがフッ素濃度が高い水道水を長期的に飲んでいると、「フッ素症」が発生することがあります。
「フッ素症」とは、白~黄色の斑点が歯のエナメル質表面にできる症状です。虫歯のようにも見えますが、「フッ素症」の症状は左右両側対称に見られるのが特徴で、虫歯にはなりにくいです。
フッ素洗口やフッ素配合の歯磨き粉、歯科医院で塗布する高濃度フッ素は、使用後は吐き出すので「フッ素症」のリスクは限りなくゼロに近く、用法用量をしっかりと守った上で安心してご使用ください。
※日本では水道水のフッ化物の添加は行われていません。
※ここでいうフッ素はPFASなどと呼ばれる有機フッ化化合物とは異なります。
【治療方法】
▶ダイレクトボンディング
歯の表面を削ったあと、コンポジットレジンを塗布して、専用の光を照射して固めます。1歯30分程度で終了します。
▶被せ物
歯を削って形を整えた後、型どりを行い、作製された被せ物を歯に被せます。被せ物にはいくつか種類があるので、歯科医院で相談しご自身に合った物を選びましょう。
▶ラミネートベニア修復
歯の表面を薄く削り、薄い板状のセラミックを歯科専用の接着剤で貼り付けます。型どりを行って歯の形に合うように作製します。
自費治療になりますが、自費治療の被せ物より費用は低価格です。
③詰め物の劣化
虫歯治療では、歯を削った部分に「レジン」という材料を詰めることがあります。レジンは非常に優秀な材料で、比較的小さな虫歯であれば、歯を削る範囲を最小限に抑えることができ、さらに目立ちにくい点がメリットです。
しかし、樹脂からできているので着色がつきやすく、セラミックとは違って数年経過すると黄ばんでくることがあります。
また、保険適用の被せ物には「前装冠」と呼ばれる前歯に適用される白い被せ物があり、これにもレジンが使用されているため、黄ばんでくることがあります。レジンの黄ばみは、磨いても落ちにくいです。
【治療方法】
▶詰め物や被せ物のやり換え
詰め物や被せ物を外して、再度、詰め直したり、被せ物を新しい物に付け替えます。最初の治療と同じ材料で再治療を行う場合、年数経つとと再度黄ばみが気になることがあるため、気になる方は治療に使用する材質を歯科医院に相談されると良いです。
着色や黄ばみがつきにくい材質としてはセラミックがおすすめです。
④神経へのダメージ
転倒、衝突などにより歯に強い衝撃が伝わると、神経にダメージが及び、壊死してしまうことがあります。痛みが出ることもあれば、はっきりとした症状がでないこともあり、知らないうちに歯が黄色っぽくなったり黒ずんだりすることも少なくありません。
また、神経の治療をした歯は、通常被せ物をして補強しますが、被せ物をしない場合は、時間が経つにつれて歯が黒ずんでくることがあります。変色以外にも、歯自体が脆くなっていることで歯が欠けるリスクが高いです。
【治療方法】
▶神経治療行い被せ物を装着する
気づかないうちに神経が壊死した場合は、歯の神経を除去する治療が必要です。神経の除去後は、神経が通っていた管の中を洗浄して最終的な薬を詰め、歯の土台を作って被せ物を装着します。
すでに神経の治療が済んでいて歯が黒ずんでいる場合は、歯の根っこに特に問題がなければ、歯を削って形を整え型取りをした後、作製した被せ物を装着します。
歯科医院のクリーニングで除去可能な歯の黄ばみ
- 食べ物や飲み物の色素
- 歯垢(プラーク)や歯石の付着
- ヤニによる着色
が原因で起こる歯の黄ばみは、歯科医院で受けるクリーニングで除去することができます。
それぞれの項目毎に解説し、歯科医院で行うクリーニングの内容についても解説します。
①食べ物や飲み物の色素
歯磨き粉のCMなどで「ステイン」という言葉を聞いたことはありませんか?ステインとは歯の表面につく黄ばみや黒ずみなどの着色汚れのことを言います。
ステインの原因は、主に赤ワインやカレー、コーヒー、紅茶などの食品や飲料に含まれる色素によります。ステインは一度付いてしまうと歯磨きでは除去することが難しいです。
②歯垢(プラーク)や歯石の付着
歯垢(プラーク)とは、細菌が食べかすの成分を分解して作り出したものがプラークです。プラーク1mg中には1億個もの細菌が存在しており、放置すると虫歯や歯周病の原因となります。見た目は白~黄色でフワフワしたような見た目をしています。
歯石は、唾液に含まれるカルシウムやリンなどのミネラル成分がプラーク中に取り込まれることで硬くなり形成されます。
歯垢(プラーク)は歯磨きで除去できますが、歯石は除去できません。
③ヤニによる黄ばみ
喫煙している方はヤニがつきやすく、歯が黄色~茶色になりやすいです。これは、タバコの成分に含まれるタールが原因となっています。タールは粘着性が高く、歯の表面のエナメル質に強く付着する性質があり、目立った着色がつきやすいです。
また、タールはタバコに含まれる有害物質が合体したもので、歯以外にも肺や気管支など全身に影響を及ぼす可能性があります。
現在では、紙タバコ以外にも、電子タバコや加熱式タバコがあります。電子タバコや紙タバコは、液体を加熱して発生した煙を吸うので、紙タバコよりはタールの量が少なく、着色がつきにくいです。
しかし、タバコに含まれるニコチンには唾液分泌の低下、血管収縮による血流の悪化を起こす作用があるため、虫歯や歯周病リスクを高めてしまいます。
歯の着色汚れを付きにくくするのはもちろん、体の健康をなるべく長く維持するためにも、極力タバコは控えていただくことをおすすめします。
【治療方法】
以上3つの黄ばみの原因については、虫歯ではないか歯科医師がお口のチェックを行った後に、クリーニングで着色汚れを落とすことができます。
<クリーニングの流れ>
- 歯茎のチェック:歯茎に腫れや出血がないか、歯周病が進行していないか検査をします。この際、歯茎内部に歯石が付着していないかも確認します。
- 磨き残しチェック:歯の度の部分に磨き残しがあるか検査し、歯磨きで磨き残しができやすい部分をお伝えします。
- 着色・プラーク・歯石の除去と洗浄:歯科専用の超音波スケーラーで着色・プラーク・歯石を除去します。歯ブラシでは届かない歯と歯茎の間の溝まで超音波スケーラーの微細な振動とマイクロバブルにより、洗浄できます。最後は、歯科専用のペーストで磨いて歯の表面をツルツルにして完了です。
一度、クリーニングでキレイにしても、再度付着することがあるので、定期的に受けていただくことをおすすめします。
クリーニングを行っても黄ばみが気になる時は
クリーニングを行っても歯の黄ばみが改善しない場合は、ホワイトニングがおすすめです。ホワイトニングに使用する薬剤が黄ばみの原因になる色素分子を分解することで、歯の黄ばみを改善する効果があります。
また、加齢に伴う歯の黄ばみの原因として、着色以外に歯が咬耗することで表面のエナメル質が擦り減り、内部の象牙質が透けて見えることが挙げられます。象牙質は黄色っぽい色をしているため、歯自体が黄ばんだ様な見た目になります。着色した歯よりもホワイトニング効果は出にくいですが、歯の黄ばみが現状より改善します。
ホワイトニングの「種類」「費用目安」「特徴」について表にまとめました。ご参考なさってください。
| ホワイトニングの種類 | 費用目安 | 特徴 |
| オフィスホワイトニング | 約1~7万円 | 歯に高濃度の薬剤を塗布し、専用の光を照射して行います。施術を受けたその日に、効果を実感できます。効果持続期間は、3~6ヶ月くらいです。すぐ歯を白くしたい方におすすめです。 |
| ホームホワイトニング | 約8千~4万円 | マウスピースに薬剤を入れて2時間装着して行います。1ヶ月くらい続けると効果が現れてきます。効果が出るのに期間がかかりますが、効果が持続する期間は半年~1年と長めです。 |
※即効性・持続性どちらも大切にされたい方は、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを併用して行うこともできます。
※ホワイトニングはしみる症状が出ることがあります。
※虫歯治療が必要な場合は、ホワイトニング後に行うと、虫歯治療で使用する詰め物や被せ物の色味をホワイトニング後の歯の色と合わせることができるため、仕上がりがキレイになりやすいです。
日々のケアで黄ばみを予防するためには
自宅でのお口ケアで黄ばみがなるべく付きにくくする方法をご紹介します。
①磨き残しを少なくする
歯ブラシのみでの歯磨きの場合、プラークを除去できる割合は6割ほどです。しかし、フロスを併用して歯と歯の間までケアすると、その割合は8割に、さらに歯間ブラシを使用すると9割まで高まるとされています。
特に夜寝る前の歯磨きに、これらの清掃補助用具を使用していつもより丁寧な歯磨きを意識していただくと、プラークや歯石、着色が付きにくくなることで、黄ばみを予防することができます。
②ホワイトニング効果のある歯磨き粉を使用
ホワイトニング用の歯磨き粉は、有効成分に炭酸カルシウムやリン酸カルシウムなどの研磨剤が含まれています。これらの成分は、歯内部に浸透する作用はありませんが、歯の表面のヤニや着色であれば除去する効果があります。
歯磨き粉の研磨剤が苦手な方は、ポリリン酸ナトリウムを有効成分とし、研磨剤無配合の歯磨き粉(シュミテクト トゥルーホワイト®)を使用していただくのがおすすめです。
③定期的にクリーニングに行く
1度、クリーニングを行っても、3ヶ月後くらいにはお口の状態は元の状態に戻りやすいといわれています。そのため、再度付着したプラークや歯石、着色を除去することで歯の黄ばみを防ぐことができます。
また、クリーニングでは磨き残しができやすい部分を確認してもらい、歯磨きの正しいやり方についてアドバイスを受けることができるので、さらにお口の中をキレイに保ちやすくなります。
お口のお悩み、どんなことでもご相談ください!
歯の黄ばみが気になったら、歯科医院へご相談ください。とは言っても、「痛みがないのに歯科医院に行ってもいいの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに、一昔前の歯科医院は歯が痛くなってから受診して治療を受けるケースが多かったです。
しかし、最近では、少しでも歯を健康な状態に維持していただけるように、予防歯科に力を入れる歯科医院が増えています。痛みがなくても定期的に歯科検診を受けて、「お口の状態をキレイに保つ」「もし虫歯ができても早期に気づいて早めに治療をする」ことが広まりつつあります。
歯の黄ばみが気になる場合は、原因が何か問診した上で、治療が必要なのか、クリーニングを受けていただくかご提案させていただきます。ご自身では着色と思っている方でも、歯科医院に行ったら初期の虫歯だったなんてこともあります。特に、しみる症状などがある方は早めにご相談ください。お口のお悩みのご相談であれば、どんなお悩みでも丁寧に対応させていただきます。