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親知らずの虫歯は放置厳禁!早めの対処が必要な理由と抜歯の基準とは?

監修:歯科医師 高島 光洋


親知らずが原因で歯がいる男性

親知らずがズキズキ痛む、黒い影が見えるといった悩みを抱えていませんか?

親知らずは、お口の中の最も奥に生えるためブラッシングが難しく、非常に虫歯になりやすい歯です。気になる症状を放置すると、隣の健康な歯まで失うリスクがあります。

今回は、親知らずが虫歯になる原因や、抜歯が必要かどうかの判断基準、治療法について解説します。

【目次】
1.なぜ親知らずは虫歯になりやすいのか?3つの原因
 1-1 ①歯ブラシが届きにくくプラークが溜まる
 1-2 ②歯の一部だけが見える「半埋伏」の状態になりやすい
 1-3 ③横向きや斜めに生えて隙間ができる
2.親知らずの虫歯を放置するリスクと周囲への影響
 2-1 手前の健康な第二大臼歯まで虫歯になる
 2-2 激しい痛みや顎の骨の炎症(智歯周囲炎)を引き起こす
 2-3 口臭の原因や全身疾患のリスクが高まる
3.抜歯か温存か?歯科医師が判断する明確な基準
 3-1 抜歯が必要と判断されるケース
 3-2 抜歯せず温存・治療ができるケース
4.親知らずの虫歯治療と抜歯の手順・費用目安
 4-1 温存して治療する場合
 4-2 抜歯を行う場合
5.親知らずの虫歯を予防するための日常ケア
 5-1 ①ワンタフトブラシを活用する
 5-2 ②フッ素配合の歯磨き粉や洗口液を使う
 5-3 ③定期的な歯科検診とクリーニングを受ける
6.親知らずの異変を感じたら早期受診を

なぜ親知らずは虫歯になりやすいのか?3つの原因

親知らず(第三大臼歯:智歯)は、一般的に10代後半から20代前半にかけて、お口の中の最も奥に生えてくる歯です。

厚生労働省の生活習慣病予防のための健康情報サイト「e-ヘルスネット」でも、口腔内の最奥部は清掃性が著しく低下することが指摘されています。

なぜ親知らずはトラブルを引き起こしやすいのか、具体的な3つの原因をお話ししていきます。

①歯ブラシが届きにくくプラークが溜まる

親知らずの最も厄介な点は、生える「位置」にあります。

お口の最奥部に生えてくるため、通常の歯ブラシだとヘッドが大きくて届きにくく、磨き残し(プラーク)が蓄積しやすいのです。

プラークは細菌の塊であり、これが長期間停滞することで酸が放出され、歯の表面のエナメル質を溶かして虫歯が進行します。

②歯の一部だけが見える「半埋伏」の状態になりやすい

現代人は顎が小さい傾向があり、親知らずがまっすぐ生えることができるスペースが不足しがちです。

そのため、親知らずが完全に生え切らず、歯の一部だけが歯肉から顔を出す「半埋伏(はんまいふく)」という状態になるケースが多くみられます。

半埋伏の場合、歯と歯肉の間に深いポケット(隙間)ができやすく、そこに食べカスや細菌が入り込むことで、虫歯や歯茎の炎症を引き起こします。

③横向きや斜めに生えて隙間ができる

スペース不足により、親知らずが真横や斜め向きに生えてくるケースも少なくありません。これにより、手前にある第二大臼歯との間に隙間が生じます。

この隙間に溜まった汚れは、デンタルフロスやタフトブラシを使っても完全に落とすことが難しいです。

そして、親知らずだけでなく、手前の健康な歯まで虫歯にしてしま原因となります。

親知らずの虫歯を放置するリスクと周囲への影響

「まだ少し痛むだけだから」「歯医者に行く時間が取れないから」と、親知らずの虫歯を放置するのは非常に危険です。

放置された虫歯菌は、歯の内部だけでなく、お口全体や全身の健康にまで深刻な悪影響を及ぼします。

どのようなトラブルが待ち受けているのか、具体的なリスクを見ていきましょう。

手前の健康な第二大臼歯まで虫歯になる

親知らずにできた虫歯を放置すると、虫歯菌は隣の健康な第二大臼歯へも容赦なく感染します。

第二大臼歯は、生涯にわたって咬み合わせを支える極めて重要な歯です。

親知らずを放置した結果、この重要な奥歯まで神経を抜くことになったり、最悪の場合は抜歯に追い込まれたりすることも少なくありません。

激しい痛みや顎の骨の炎症(智歯周囲炎)を引き起こす

虫歯が進行して歯の神経(歯髄)に達すると、夜も眠れないほどの激しい痛みに襲われます。

さらに、親知らず周辺の歯肉に炎症が広がる「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」を発症すると、顔が大きく腫れたり、口が指1本分も開かなくなったり(開口障害)、膿が出たりします。

炎症が顎の骨の奥深く(顎骨骨髄炎)まで波及した場合は、入院治療が必要になるケースもあります。

口臭の原因や全身疾患のリスクが高まる

虫歯によって歯に穴が空き、そこに食べカスが詰まって腐敗すると、強い口臭(揮発性硫黄化合物)を放つようになります。

また、日本歯科医学会等の見解でも示されている通り、お口の中の慢性的な炎症や細菌が血管を通じて全身を巡ると、心臓疾患や糖尿病の悪化など、全身の健康に悪影響を及ぼすリスクがあります。

抜歯か温存か?歯科医師が判断する明確な基準

親知らずが虫歯になったからといって、必ず抜歯しなければならないわけではありません。

歯科医院では、精密なレントゲン検査やCT検査を行い、将来的なお口の健康を見据えて「抜くべきか」「残せるか」を慎重に診断します。その一般的な基準を解説します。

抜歯が必要と判断されるケース

以下のような場合は、お口全体の健康を守るために早期の抜歯が推奨されます

  • まっすぐ生えておらず、今後も歯としての機能を正常に果たせる見込みがない
  • 虫歯が大きく根管治療(神経の治療)が必要だが、器具が届かず治療が困難
  • 手前の第二大臼歯を巻き込んで虫歯や歯周病を誘受している
  • 歯肉の腫れや激しい痛みが繰り返している

抜歯せず温存・治療ができるケース

一方で、以下のような条件を満たしている場合は、歯を抜かずに通常の虫歯治療を行い、大切に保管・活用することがあります。

  • 上下の親知らずがまっすぐ生え揃い、しっかり咬み合っている
  • 虫歯が初期段階であり、器具が届き確実に治療・充填ができる
  • 将来的に他の歯を失った際、「歯の移植(自家歯牙移植)」やブリッジの土台として利用できる可能性がある

親知らずの虫歯治療と抜歯の手順・費用目安

実際に治療や抜歯を行うことになった場合、どのような流れで、どのくらい費用がかかるのでしょうか。

歯科治療に対する不安や疑問を少しでも和らげるために、具体的な治療の流れと、公的医療保険(3割負担)を適用した際の一般的な費用の目安をまとめました。

温存して治療する場合

親知らずを残す場合、通常の歯と同じ虫歯の治療を行います。

軽い虫歯であれば、虫歯部分を削ってプラスチック(コンポジットレジン)を詰めるだけで、1回で終了します。

神経まで達している場合は、数回通院して根管治療根を行い、最終的には被せ物を作製します。

費用は保険適用の3割負担で、簡単な詰め物であれば1本あたり約1,500円〜3,000円程度です。根幹治療まで行う場合は、総額で約7,000円〜15,000円程度になります。

抜歯を行う場合

抜歯を行う場合、まず処置前に麻酔をしっかり効かせます。まっすぐ生えている歯であれば、5分〜10分程度で比較的簡単に抜くことができます。

一方、横向きに埋まっている場合は、歯肉を切開し、歯を分割して取り出す必要があるため、30分〜1時間ほどかかることがあります。

<抜歯にかかる費用の目安(保険適用)>

日本の公的医療保険制度では、病的な理由(虫歯や炎症)がある親知らずの抜歯には、保険が適用されます。費用の目安(3割負担・初診料や処方箋料等は除く)は以下の通りです。


親知らずの状態 費用の目安(3割負担)
まっすぐ生えている(簡単な抜歯) 約1,000円 〜 2,000円
横向き・埋まっている(切開や骨の切削が必要) 約3,000円 〜 5,000円

親知らずの虫歯を予防するための日常ケア

親知らずの虫歯を防ぐ、あるいは治療後のトラブル再発を防ぐためには、毎日のセルフケアの質を上げることが不可欠です。

通常のブラッシングだけでは限界があるため、専用のケアグッズを賢く取り入れましょう。今日から実践できる3つの予防アプローチをご紹介します。

①ワンタフトブラシを活用する

通常の歯ブラシと併せて、毛先が小さな円錐状になった「ワンタフトブラシ」を使用しましょう。

ヘッドが非常に小さいため、親知らずの奥の面や、手前の歯との隙間にピンポイントで届き、プラークの除去率が劇的に向上します。

②フッ素配合の歯磨き粉や洗口液を使う

厚生労働省も推奨している通り、高濃度フッ素(1450ppmFなど)が配合された歯磨き粉を使用することで、酸に強い歯質を作り、初期虫歯の再石灰化を促すことができます。

また、就寝前にフッ素入りの洗口液(マウスウォッシュ)でブクブクうがいをすると、お口の隅々まで成分が行き渡るのでさらに効果的です

③定期的な歯科検診とクリーニングを受ける

どれだけ丁寧に磨いていても、セルフケアには限界があります。3ヶ月〜6ヶ月に一度は歯科医院を受診し、プロによる専用器具を用いたクリーニング(PMTC)を受けましょう。

万が一、親知らずが虫歯になっていても、初期段階で見つければ抜歯を避けられる可能性が高くなります。

親知らずの異変を感じたら早期受診を

親知らずの虫歯は、その特異な生え方や位置から非常に進行しやすく、放置すると周囲の健康な歯や全身にまで悪影響を及ぼします。

お口全体の健康維持において、トラブルを抱えた親知らずへの迅速なアプローチは非常に重要です。まっすぐ生えていてしっかり機能している場合を除き、多くは早期の抜歯が推奨されますが、将来的な歯の移植のために温存されるケースもあります。
ご自身で「抜く・残す」を判断するのは不可能なため、少しでも違和感や痛みがあるようなら、速やかに歯科医院でレントゲンやCTによる精密な診察を受けましょう。

当院では、無料カウンセリングを受け付けております。現在親知らずに症状がある方はもちろん、ご自身の親知らずがどのような状態か確認したい方も、どうぞお気軽にご相談ください。

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