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舌小帯が痛いときは要注意!原因と適切な対処法を解説

監修:歯科医師 高島 光洋


舌を出している白い服の女の子

「舌の裏側が痛い…」
「舌の裏の小さな筋が突っ張る感じがする…」
それはもしかしたら舌小帯(ぜつしょうたい)のトラブルが原因かもしれません。
舌小帯とは、舌の裏側中央にあるスジ状の組織で、発音・食事・呼吸・歯並びなどに深く関わる大切な部位です。この舌小帯に異常があると、舌を動かすたびに痛みが出たり、発音のしづらさを感じたり、歯並びに悪影響が出たりするといったトラブルが生じることがあります。
本記事では、「舌小帯が痛い」と感じたときに考えられる原因と、正しい対処法についてわかりやすく解説します。

舌の裏のスジ「舌小帯」とは?

舌小帯は、舌の裏側にある小さなスジ(ヒダ)で、舌と下顎を繋いで舌が喉の奥に下がりすぎないように支えています。また、食べ物をうまく飲み込めるようにする、滑らかに発音できるようにする、といった役割も担っています。
しかし、舌小帯に異常がある場合は、機能面に支障が出るだけではなく、痛みや不快感などの症状も伴うことがあります。

舌小帯が痛いときに考えられる主な原因

舌小帯短縮症(舌小帯強直症)

舌小帯が通常より短かったり、突っ張っていたりすると、舌の可動域が狭くなります。
この状態は「舌小帯短縮症」と呼ばれ、以下のような症状を引き起こします。

  • 舌を前に出すと舌のかたちがハート型になる
  • 発音が不明瞭になる(サ行・ラ行など)
  • 食事中にむせやすい、噛みにくい
  • 舌を動かすと痛い、つっぱる感じがする
  • 舌が歯の裏に常に触れていて、前歯が出てくる
  • 顎や首に緊張感があり、顎関節にも違和感が出ることがある

これらの症状は、軽度であれば舌を動かすトレーニングなどである程度改善できることがあります。しかし、中等度〜重度の場合は痛みが続きやすいため治療が必要です。

舌小帯に「できもの」や炎症がある

「できもの」や傷が原因で舌小帯が痛むことがあります。

○口内炎
口内炎は唇や頬の内側などにできやすいです。舌小帯にできると、話したり食べたりするときに痛みを感じます。多くの場合数日で治りますが、2週間以上続くようなら白板症などの可能性があるので注意が必要です。

○粘液嚢胞
唾液腺が詰まり、水ぶくれのような状態になります。症状や程度によっては外科手術が必要です。

○舌がん・白板症
部分的に白くなっている、硬くしこり状になっている所がある、出血があるといった場合は、白板症や舌がんの可能性があります。早期に歯科を受診することをおすすめします。

舌小帯の痛みを放置するとどうなる?

舌小帯の痛みや異常を放置していると、次のようなトラブルに繋がることがあります。

  • 滑舌や発音が悪くなる(構音障害)
  • 歯並びの悪化(出っ歯や開咬、正中離開など)
  • 食事がうまくできない(嚥下障害)
  • 顎の成長不足による顔貌の歪み
  • 口呼吸・いびき

特に成長期のお子さまにおいては、歯並びに悪影響が及ぶことが多いです。発音の問題や歯並びが悪い状態を子供の時から放置していると、正常な発育、健康に支障をきたし、生活するうえでも不便やトラブルが増える可能性があります。

舌小帯の異常への対処法

1. 歯科での診断
まずは、歯科医院で正確な診断を受けましょう。痛みや異常が舌小帯の短縮やできもの、あるいは他の要因によるものかを判断します。

2. MFT(口腔筋機能療法)
軽度の舌小帯短縮や、痛みを伴わない可動制限の場合には、MFTという舌や唇の筋力を鍛えるトレーニングが有効です。

  • 舌を上顎に吸い付ける
  • 舌を前に突き出した状態で止める
  • あいうべ体操

このようなトレーニングを行うことにより、10歳前後までであれば舌小帯が伸びて可動域が改善することもあります。

3. 舌小帯切除術(保険適用)
MFTでは改善しない場合や、痛みや構音障害、食事の問題が大きいと診断された場合には、舌小帯切除手術を行います。

  • 局所麻酔を使い、メスまたはレーザーを使用
  • 手術時間はおよそ20〜30分程度
  • 術後は再癒着を防ぐための訓練が必須
  • 保険適用(自己負担3,000〜5,000円程度)

手術後は継続的にMFTを行うことで、再発防止と機能回復を図ります。

舌小帯の痛みは専門家に相談を

舌小帯は、存在自体知らない方もいらっしゃいますが、実は、発音や食事、歯並びに関わる重要な器官です。
もしも

  • 舌小帯が痛くて舌が動かしづらい
  • 舌の裏側にできものが見える、繰り返しできている
  • 口内炎が2週間以上治らない
  • 食事や会話で違和感・痛みがある
  • 前歯が出てきたり、ねじれて生えたりしている

などのような症状が気になったら、早期に歯科や口腔外科で診断を受けましょう。トレーニングや手術などの適切な対処を行うことで、痛みの改善だけでなく、日常生活の質を高めることにも繋がります。
特にお子さまの場合、舌小帯の異常は健全な発育や健康にも悪影響を及ぼしかねません。お子さまの舌小帯がどのような状態か、一度小児歯科や口腔外科でチェックしてもらうと良いでしょう。
舌小帯についてのご相談や診断は、歯科医院においては一般的です。お気軽にご相談ください。

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