エナメル質形成不全症は、治療より「虫歯にさせない」ことが大事!
監修:歯科医師 高島 光洋
「エナメル質形成不全症」という言葉を聞いたことはありますか?聞き馴染みがなくて、そう診断されてもどう対応すればよいのかわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、エナメル質形成不全の歯は虫歯になりやすいため、予防が重要です。今回は、エナメル質形成不全とは何かと、日常の具体的な予防策を詳しく紹介します。
1.エナメル質形成不全症とは?
1-1エナメル質形成不全症になる原因
1-2考えられるリスク
2.お口の中をチェック!
2-1歯の「色」と「形」に注目しましょう
3.エナメル質形成不全症の治療法とは
3-1虫歯になってしまった場合
3-2虫歯になる前の「予防」が大事!
4.エナメル質形成不全症の虫歯予防・治療はひだまり歯科医院へ
エナメル質形成不全症とは?
歯のエナメル質が正常に作られずに薄くなっている状態のことを「エナメル質形成不全」といいます。歯の表面に白い模様が見られたり、色が茶色や黄色に変色したりしていることがあります。このような特徴を持つ歯は、見た目だけでなく健康面でも注意が必要です。
エナメル質形成不全症になる原因
<外傷、虫歯によるもの>
乳歯期に受けたダメージが、後に生える永久歯の健康に影響を与えることがあります。具体的には、外傷や重度の虫歯などが挙げられます。
<胎児の頃の影響>
子供の歯は、母親のお腹の中にいる時から形成され始めます。そのため、この時期に母親が栄養不足や病気、内分泌やホルモンの異常などの問題を抱えていると、エナメル質形成不全が引き起こされることがあります。全身的な問題が原因であるため、複数の歯に症状が出ることが多いです。
<遺伝>
ご両親にエナメル質形成不全の歯がある場合は、お子様にも遺伝する可能性があります。
考えられるリスク
エナメル質が不完全または薄いため、象牙質が露出しています。この状態では、通常の歯と比較して虫歯になるリスクが格段に高まります。虫歯の進行も早くて神経にまで達してしまうことも少なくありません。そのため、エナメル質形成不全の歯は特に入念なケアが必要であり、定期的な歯科検診がより一層重要になるのです。
お口の中をチェック!
お子様のお口の中をチェックしてみましょう。エナメル質形成不全の歯は、通常の歯とは異なる特徴が見られます。
歯の「色」と「形」に注目しましょう
まず、「色」に関してです。歯の表面が斑点状に白っぽくなっていることや、茶色や黄色に変色していることがあります。これはエナメル質の不均一な分布や薄さによるものです。
次に「形」についてですが、エナメル質形成不全の歯はしばしば通常の形状とは異なり溝や窪みがあります。また、歯の表面が滑らかでなくザラザラしていることもあります。これらの特徴は、歯の保護層が完全に形成されなかったために生じます。
歯が欠けていたり、歯に穴が開いていたりするようなら、早めに治療が必要です。お子様のお口の中を定期的にチェックして、歯に異常が見られたらすぐに歯科医院に相談するようにしましょう。
エナメル質形成不全症の治療法とは
エナメル質形成不全の治療は、お子様の年齢や症状の程度、影響を受けた歯の位置や本数によって異なります。お口の中の状態に合わせた治療が必要です。
虫歯になってしまった場合
虫歯でエナメル質の表面が溶け始めている程度の場合は、フッ素塗布を定期的に行って様子を見ます。フッ素には歯の再石灰化を促進し歯質を強化する効果があるため、さらなる損傷を防ぐことができるのです。これによって症状が改善されるようなら、大きな治療を行う必要はありません。
一方、歯が欠けてしまったりすでに穴が空いてしまったりしている場合はすぐに治療が必要です。その部分を削ってからコンポジットレジンを用いて修復することになります。コンポジットレジンはプラスチックの白い詰め物で、時間が経つと劣化し変色することがあります。また、広範囲に及ぶ場合は、セラミックなどの材質を使用した被せ物で覆う治療を行います。どのような治療が適しているかはお子様の年齢やお口の中の状態で変わるため、歯科医師とよく相談するようにしましょう。
虫歯になる前の「予防」が大事!
〇仕上げ磨き
エナメル質が脆弱なため、毎日の歯磨きが非常に大切です。プラークが残ると虫歯になりやすくなるため、丁寧に仕上げ磨きを行いましょう。特に歯と歯の間など汚れが残りやすい部分はフロスを使って磨くことが推奨されます。
〇フッ素の使用
家庭での日常的な歯磨きには、フッ素配合の歯磨き粉を使用することが望ましいです。フッ素を定期的に取り入れることで、歯質が強化されます。また、歯科医院での高濃度フッ素塗布も、虫歯予防の効果を高めるために重要です。
エナメル質形成不全症の虫歯予防・治療はひだまり歯科医院へ
エナメル質形成不全の歯は虫歯になりやすいため、予防が何よりも重要です。日常的なブラッシングはもちろん、歯科医院での定期的なチェックも欠かせません。早期発見と早期治療が、虫歯の進行を防いで健康な歯を保つ鍵となります。もし歯の状態が気になるようなら、ぜひ一度当院でご相談ください。