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過剰歯は抜歯すべき?放置が招くリスクと治療法について解説

監修:歯科医師 高島 光洋


歯の模型と歯科治療器具

「お子さんの歯が通常より多い」と歯科医院で言われたことはありませんか?
本来の歯の本数よりも多く形成される歯のことを過剰歯と言います。日本人全体の3%の割合で見られる症状です。痛みなどの自覚症状はないため、レントゲン検査で偶然見つかることも珍しくありません。
過剰歯を放置すると、歯並びの乱れや永久歯の障害など、さまざまなリスクが生じる可能性があります。
この記事では、過剰歯によって引き起こされる問題と、抜歯が必要になるケースや治療方法について詳しく解説します。

過剰歯を放置するリスクとは?

「歯が多いだけなら問題ないのでは?」と思われるかもしれませんが、実は、過剰歯を放置すると以下のような深刻なトラブルを招くことがあります。

1. 歯並びや咬み合わせの乱れ

過剰歯があることによって、永久歯が生えるスペースが足りず正しい位置に生えてこれなくなり、歯並びが乱れることがあります。すきっ歯や叢生(そうせい)、出っ歯や受け口を引き起こし、将来的に矯正治療が必要になることも少なくありません。

また、歯並びの乱れは見た目だけの問題ではなく、虫歯や歯周病になるリスクを高めることにも繋がります。

2. 虫歯や歯周病のリスク増加

過剰歯が生えてくる場合、歯列からずれたり歯と歯が重なったりして、ブラッシングしにくくなることが多いです。過剰歯自体が磨きにくいだけではなく、周りの歯の衛生管理も難しくなり、汚れが溜まりやすいです。その結果、虫歯や歯周病、口臭を引き起こす確率が高まります。

3. 永久歯が生えてこない

過剰歯が永久歯の生え変わりを妨げて、永久歯が歯茎の中に埋まったまま生えてこられず「埋伏歯」になることがあります。自然に生えてこない場合、矯正治療や手術が必要になるケースもあります。

4. 歯根の吸収

過剰歯が隣接する永久歯の歯根を圧迫し、永久歯の歯根が溶けてしまうことがあります。これを、歯根吸収と言います。
歯根が短くなると、内側にある歯の神経がダメージを受けるだけでなく、歯がグラグラして抜けやすくなることもあります。

5. 嚢胞の形成

歯茎の中に埋まっている過剰歯の周囲に、嚢胞(膿の袋)ができることがあります。嚢胞が大きくなると顎の骨や隣接する歯に影響を与えるおそれがあるため、嚢胞を除去する外科的処置が必要になることも少なくありません。

6. 審美的なコンプレックス

過剰歯が前歯部分など目立つ位置に生えている場合、お子さまが見た目を気にして笑えなくなるなど、心理的な影響を及ぼす可能性があります。

7. 鼻腔への進出(逆性過剰歯)

過剰歯は、まれに逆方向に向かって生えることがあります(逆性過剰歯)。上顎洞という鼻の奥にある空洞を突き抜けて生えてしまい、鼻炎や蓄膿症など耳鼻科領域のトラブルを引き起こすことがあります。

抜歯のタイミングと方法

過剰歯が見つかったからといって、すぐに抜歯が必要とは限りません。永久歯や周囲の組織に悪影響を及ぼすかどうかが、判断の分かれ目になります。
発見された時点ですでに悪影響が確認されたり、将来的に予測されたりする場合は、抜歯が推奨されることが多いです。

<露出している過剰歯の抜歯>
口腔内にすでに過剰歯が見えている場合は、局所麻酔下での抜歯が可能です。処置としては簡単な部類に入ります。
小児の場合、6〜7歳頃に行うことが一般的です。

<埋伏している過剰歯の抜歯>
歯茎や骨の中に埋まっている場合は、手術が必要です。CTで歯の位置を把握し、歯茎を切開して摘出します。逆性過剰歯や骨の深部にある場合は、骨を削る処置が必要になることもあります。

<全身麻酔が必要なケース>
以下のケースでは、全身麻酔下での抜歯が検討されます。

・お子さまや強い恐怖心がある方の場合
・複数の過剰歯がある場合
・骨の深部に歯があって手術の難易度が高い場合
・心身の障害や持病を持つ大人の場合


全身麻酔は、必要な医療機器の整備や、麻酔専門医の常駐など、安全性が確保されたうえで行なわれます。入院をお勧めする場合と、日帰り手術が可能な場合もあります。

抜歯をする場合の費用と術後の注意点

<抜歯費用(3割負担の場合)>
・露出している過剰歯:1,000〜2,000円程度
・埋伏歯の抜歯:3,000円程度
・CT撮影:別途3,000円前後

<抜歯後の経過管理>
〇痛みや腫れ
鎮痛薬や抗生物質が処方されるため、医師の指示通りに用法を守って服用しましょう。

〇抜糸
術後1〜2週間後に行われます(切開を伴う場合)。

〇日常生活
全身麻酔でも多くは翌日から通常の生活に戻れますが、無理せず安静に過ごすことが大切です。

抜歯後も定期的な経過観察が必要

抜歯後は、永久歯の生え方や歯並びのチェックを継続して行うことが必要です。
経過によっては、矯正治療を行った方が良いケースもあります。

過剰歯対策は早めに歯科医師に相談を

過剰歯は誰にでも起こりうる一般的な歯の異常です。放置すると大きな問題に繋がる可能性があります。
将来の歯並びやお口の健康を守るためには、早めに正しい診断を受け、治療が必要な場合は適切なタイミングで行えるようにしておくことがとても大切です。

もし、お子さまの口腔内の異常が気になるようなら、歯科医院でレントゲン撮影を行なってみることをお勧めいたします。
また、定期検診の習慣があると、隠れた異常の発見や早期対策が可能になり、歯を守ることに繋がります。

当院では、無料カウンセリングを行なっておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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