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歯肉炎と歯周病の違いとは?症状・原因・治療について詳しく解説

監修:歯科医師 高島 光洋


顎模型の内側を写そうとしている歯科用ミラー

「歯茎が腫れている」「歯磨きで血が出る」といった症状を感じた時、「これは歯周病かな?」と思う人が多いのではないでしょうか。しかし、もしかしたらそれは『歯肉炎』かもしれません。言葉は似ていますが、『歯周病』と『歯肉炎』は異なり、歯周病は、『歯肉炎』と『歯周炎』の総称です。
この記事では、『歯肉炎』『歯周炎』『歯周病』の3つのキーワードに注目し、それぞれの特徴や原因、症状、治療法をわかりやすく解説します。違いを理解して、適切なケアができるようにしていきましょう。

歯肉炎と歯周病の違いとは?

混同されやすいのですが、歯周病とは、歯の周辺組織に起こる病気の総称です。この歯周病は、初期段階の『歯肉炎』と、さらに進行した『歯周炎』という、主に2つの段階に分けられます。


病名 主な症状 炎症の範囲
歯肉炎 ・歯茎の赤み
・歯茎の腫れ
・歯茎からの出血  など
歯茎のみに留まっている
歯周炎 ・歯茎からの出血、膿
・歯茎の腫れ、赤み、色の変化
・歯槽骨の破壊、吸収
・歯の動揺  など
歯槽骨(歯を支えている骨)にも及ぶ

<歯肉炎>
歯と歯茎の間に溜まったプラーク(歯垢)が主な原因となって、歯茎だけに炎症が起きている状態です。歯肉炎は歯周炎の初期段階で、まだ骨や歯根膜には影響していません。

<歯周炎>
歯肉炎が進行すると、炎症が歯を支える歯槽骨や歯根膜にまで広がります。歯周ポケットが深くなり、やがて歯がグラグラしてきたり、膿が出たりします。最終的には歯の喪失につながる可能性があります。歯科医院での専門的な治療が必要です。

歯肉炎と歯周炎、それぞれの症状の特徴

歯肉炎の主な症状

  • 歯茎の赤み・腫れ
  • 歯磨き時の出血
  • 軽度の口臭
  • 基本的に痛みは少ない

歯肉炎の段階では目立った痛みがないため、多くの人が放置してしまいがちです。しかし、歯肉炎は、日々の歯磨きや定期的な歯科医院でのケアによって比較的短期間で改善することができます。放置をせず、早めに歯科医院でチェックとケアを受けることが大切です。

歯周炎の主な症状

  • 歯茎が下がってきて、歯が長く見える
  • 歯と歯の間に隙間ができる
  • 歯がグラグラする、膿が出る
  • 噛むと痛みや違和感がある
  • 強い口臭
  • 歯が自然に抜ける

歯周炎は、重度になると歯槽骨が溶け、歯が抜け落ちてしまいます。一度破壊されてしまった歯槽骨は自然に回復することはありません。そのため、歯周炎に進行する前の段階での対応が非常に重要です。

歯肉炎を放置するリスクとは?歯周病の全身への影響

歯肉炎を放置してしまった結果、歯周炎へ進行すると、歯だけの問題では済まない可能性があります。近年では、歯周病が全身の健康にも悪影響を与えることが明らかになってきています。

<歯周病が関係すると言われる病気>

  • 心臓病・脳梗塞
  • 糖尿病
  • 誤嚥性肺炎
  • 妊娠トラブル
  • 骨粗しょう症

こうした全身疾患のリスクを避けるためにも、歯肉炎の段階でしっかり予防・治療を行うことが重要です。

歯肉炎の予防と治療法

歯肉炎の原因であるプラーク(歯垢)は、磨き残しが時間経過で変化したものです。さらに長期間口の中に留まり続けると、歯石となって固まります。歯石になると、ご自宅での歯磨きでは落とすことができません。そのため、歯石になる前の段階で取り除くことが非常に重要です。
歯石になってしまった場合は、歯科医院でのケアが必要になります。

自宅でできるセルフケア

〇正しい磨き方でブラッシング
毛先を歯と歯茎の境目に当てて、軽い力で小刻みに動かしましょう。使用する歯ブラシの毛質は普通もしくは柔らかめをお勧めいたします。

〇歯間のケア
歯ブラシの毛先は、歯と歯の間にしっかり届かないことがあります。フロスや歯間ブラシを使って、歯と歯の間の汚れもしっかりと除去しましょう。

〇口腔内の保湿
口内が乾燥すると、細菌が増殖しやすくなります。唾液には自浄作用があるため、水分補給を心がけましょう。

〇栄養バランスの取れた食事
ビタミンCやカルシウム、抗酸化成分を積極的に摂りましょう。

〇禁煙・ストレス管理
どちらも歯肉の血流や免疫力に影響を及ぼします。
喫煙は血管が収縮し、歯ぐきへの血流が悪くなるため、免疫力が低下します。また、ストレスが原因で歯ぎしりや食いしばりを無意識に行ない、歯へ過度な負担がかかることによって歯周病が悪化する場合があります。そのため、禁煙やストレス管理も、歯周病予防には効果的です。

歯科医院での専門的なケア

  • スケーリング:歯茎の上に付いている歯石の除去
  • ルートプレーニング:歯周ポケット(歯と歯茎の境目の溝)内の歯石の除去
  • 歯周検査と定期的なクリーニング
  • 3〜6ヶ月ごとの定期検診

歯肉炎の段階であれば、セルフケアと歯科医院での専門的なケアを組み合わせることで、2〜3週間程度で改善が見込めます。

違いを知って、歯と全身の健康を守ろう

歯肉炎と歯周炎の違いは、「炎症の範囲」と「治療の難しさ」にあります。
歯肉炎は軽度な状態で、早期に対応すれば改善が可能です。しかし、歯周炎へと進行してしまうと、最終的には歯の寿命や全身の健康にまで大きく影響を与えます。歯の動揺や口臭も発生するので、日常生活にも支障が出てきます。
そして何より歯周病の恐ろしいところは、自覚症状がほとんどないまま進行することです。もし、「歯磨きの時に出血する」「歯茎が腫れている」という症状があれば、早めに歯科医院にご相談ください。

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