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舌苔ケアで口臭予防!清掃方法とケア用品についてご紹介

監修:歯科医師 高島 光洋


口元を指さして笑う男性

口臭の原因は、舌苔や歯周病、虫歯、口の渇きなど様々です。このコラムでは、その原因の一つである「舌苔(ぜったい)」に着目し、「口臭発生のメカニズム」や「口臭の改善方法」、「ケア用品」についてわかりやすく解説します。

舌のケアは、毎日の習慣に取り入れやすいです。口臭を感じる方はもちろん、舌が白あるいは黄色っぽくなったと感じる方は、ぜひご参考になさってください。

舌苔とは?

舌苔とは、舌表面に見られる白~黄白色をした苔状の付着物です。
舌表面はよく見るとザラザラしているため、細菌や剥がれ落ちた口内の上皮、食片などが混ざり合って付着します。
ただし、舌苔は誰でも付くものなので、舌がうっすら白っぽくなっている状態であれば、特に問題ありません。

舌苔が厚みを増して白くなっていたり、黄色っぽくなっている場合は、口臭が発生しやすいので要注意です。特に、舌の奥の方3分の2に付着した舌苔は、口臭の原因になりやすいです。

また、舌苔の増加は、体の免疫力の低下や消化器官における問題が関係していることもあります。

舌苔から口臭が発生するメカニズム

口臭の原因となる物質のほとんどは、細菌が作り出しています。原因物質が作り出されるメカニズムをご紹介いたします。

  1. 口内から剥がれ落ちた上皮や、お口の中に残った食物残渣の中にはタンパク質が含まれています。
  2. タンパク質はアミノ酸が連なってできていますが、このアミノ酸を細菌が分解することで、口臭の原因物質が作られます。
  3. この口臭の原因物質を「VSC(揮発性硫黄化合物:きはつせいいおうかごうぶつ)」と呼びます。代表的なVSCには、「硫化水素」、「メチルメルカプタン」、「ジメチルサルファイド」があります。(口臭測定装置では、これらの物質が口臭に含まれる数値を測定します)
  4. 舌苔の量が増え厚みが増すと、細菌が繁殖しやすくなります。そうすると、VSCも発生しやすくなるため、口臭が強くなります。

上記の流れから、蓄積した舌苔は細菌の住処となり、舌から口臭が発生するのです。

舌苔が蓄積する原因

①唾液分泌の低下
舌は表面がザラついているため、お口の中で剥がれた上皮や食物残渣、細菌が付着しやすいです。それらの付着物は、唾液が分泌され循環することである程度洗い流されます。しかし、口呼吸や薬の副作用によって、お口が乾燥したり、唾液の分泌が減ったりすると、付着物が洗い流されずに停滞するため、舌苔が蓄積します。

②細菌が繁殖する
舌苔内の細菌は、食物残渣やお口の中で剥がれ落ちた上皮などに含まれるタンパク質を栄養源とします。お口のケアが不十分で、食物残渣が残っていると、細菌がそれらを栄養源として繁殖し、舌苔が増えやすくなります。

③舌の位置が低い
舌の位置は、上の前歯の根元近くにあるスポットに舌の先端が触れ、舌全体は上顎に吸着している状態が正常です。この状態だと、舌全体が上顎に接触することで、舌苔が剥がれやすくなります。しかし、舌の位置が下がっていると、舌が上顎に接触しにくいため舌苔が付着しやすくなります。

④服用している薬の影響
抗生物質やステロイド剤を長期的に服用していると、舌苔が蓄積し黒色になることがあります(黒毛舌)。抗生剤の標的である細菌は減少しますが、標的ではない細菌は増殖します。特に、真菌(カビの1種)であるガンジダ菌は、お口の中に常在する菌ですが、この菌には抗生剤が効かず増殖することがあります。ガンジダ菌が放出する物質と血液成分が結合することで、舌苔が黒色に変化します。

舌苔から発生する口臭には舌清掃が効果的!

舌の清掃はご自宅でも可能です。正しいケアを行ない、舌苔を除去することで口臭を予防しましょう。以下に、舌清掃のやり方についてご紹介します。

歯ブラシを使用した舌苔清掃

普段使っている歯ブラシで舌のケアを行なうことができます。

  1. 歯ブラシを一度洗います。舌をべーと出して、舌の表面が鏡で見えるようにします。
  2. 舌の表面の奥に歯ブラシを当てて、手前方向に動かします。(力を入れてゴシゴシするのではなく、ブラシの毛が触れるくらいで優しく磨きます)
  3. これを、舌の端→真ん中→端の順に、一方向に3回ほど繰り返します。
  4. 最初はブクブクうがい、その後にガラガラうがいをして、舌全体の汚れを洗い流します。
  5. 舌清掃は1日1回で十分です。特に朝行うと口臭対策に効果的です。(やり過ぎると舌が傷ついてしまうので気をつけましょう)

いつもの歯ブラシをそのまま使用していただけるので、すぐに舌清掃を始めることができます。ただし、歯磨き粉に含まれている研磨剤で舌が傷つくことがあるため、歯磨き粉は使用せずに行いましょう。

舌ブラシを使用した舌苔清掃

「舌ブラシ」という、舌のケア専用のブラシもあります。

<使用方法>

  1. 舌ブラシを一度洗います。舌をべーと出して、舌表面が鏡で見えるようにします。
  2. 舌表面の奥から手前方向に舌ブラシを当てて動かします。(力を入れてゴシゴシするのではなく、ブラシの毛が触れるくらいで優しく磨きます)
  3. これを、真ん中→両端の順に、一方向に3回ほど繰り返します。(舌ブラシは幅が広く清掃範囲が広いため、まずは真ん中から磨くと清掃効果が得られやすいです)
  4. 最初はブクブクうがい、その後にガラガラうがいをして、舌全体の汚れを洗い流します。

舌専用のクリーニングジェルも市販されています。舌清掃の際にブラシにつけて使っていただくと、汚れを浮き上がらせる効果があるため、舌苔を除去しやすくなります。

※嘔吐反射について
嘔吐反射とは、口の奥に異物が入るとオエッとなる体の反射のことです。
歯ブラシや舌ブラシを使用して舌清掃を行なう場合、舌の奥の方にあてる時に嘔吐反射がでて、気持ちが悪くなる方もいらっしゃいます。その場合は、奥に入れる時だけ息を止めてみたり、子供用歯ブラシのようなヘッド部分が小さな歯ブラシを使ってみたりすると良いでしょう。

舌苔清掃をすると健康チェックも一緒にできます!

舌苔の清掃は健康チェックにも繋がります。舌は健康のバロメーターと言われ、体の状態を映し出すこともあります。舌苔をケアしながら、舌苔や舌の様子を観察してみましょう。

○正常な舌の状態
・うっすら白い舌苔が付着している
・淡いピンク色~赤色をしている
・舌全体が歯列の内側に収まっている

○舌の色や大きさ、形、舌苔の状態に変化から読み取れること
<舌の色>
血の巡りや体の栄養状態を表します。舌の色がいつもより白いと、体の冷えや栄養不足、消化器系の不調が疑われます。いつもより赤い状態であれば、体の中で何らかの炎症が起こっていたり、感染症にかかっていたりする場合もあります。

<舌の大きさと形>
体の中の水分量に関係します。舌がいつもより大きくみえたり、むくんでいるように感じたりする場合は、体内の水分量が多いあるいは水分不足が疑われます。舌の縁に歯型がついている場合は、体がむくみやすくなっていることが考えられます。足首や顔など、むくんでいないか気にかけてみましょう。

<舌苔>
舌苔がいつもより白く厚みが増している場合は、消化不良や体の冷えが疑われます。舌苔が黄色い場合は、カビの一種であるガンジダ菌の増殖や、胃腸や肝臓の問題などが関係しています。舌苔が茶~黒っぽくなっている場合は、服用している薬の影響や、胃腸の不調が疑われます。

舌の状態の変化だけでは、病院へ行こうとは思わないかもしれません。。舌の変化を読み取り、それに加えて食欲不振や体の冷え、痛みなど体の変化も伴う時には、病院を受診するようにしてください。

このように、舌清掃を行うことで、体の変化にも気づきやすくなります。口臭が気になる方は、毎日の生活に舌清掃を取り入れてみましょう!

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