これって顎関節症?何科を受診すべきか症状別に解説
監修:歯科医師 高島光洋
“顎が痛い“、“口が思うように開かない“、“口の開け閉めで顎関節に音がする“このような症状は顎関節症の可能性があります。今回は、顎関節症が疑われる際の適切な受診科と共に、ご自宅でできる簡単なチェック方法をご紹介します。
1.顎関節症は「歯科医院(口腔外科)」で検査・治療ができます
2.顎関節症の主な症状
2-1まずはセルフチェック
2-2顎関節症の原因
3.顎関節症の治療の流れ
3-1検査・原因の特定
3-2軽度の場合の治療
3-3中度・重度
4.顎関節症かも?と思ったら、ひだまり歯科医院へご相談ください
顎関節症は「歯科医院(口腔外科)」で検査・治療ができます
顎関節症は、口の中や顎関節周囲の組織が原因になっていることが多く、歯科医が診断することが多いです。そのため、顎関節症が疑われる場合は、歯科医院を受診して下さい。
症状が重い場合は、外科的な処置が必要になることもあるため、口腔外科を併設している歯科医院がお勧めです。
耳鼻咽喉科や整体を受診する方もいますが、これらは一時的な症状の緩和が主な目的であり、根本的な解決にはつながらないことが多いです。歯科医院では、レントゲンやCTなどの画像検査を通じて、症状に最適な治療プランを提案することができます。
顎関節症の主な症状
顎関節症の症状は、健康状態や顎の状態によって大きく異なります。一般的な症状としては、以下の3つがあげられます。
- 口を動かす際に音がする(咀嚼雑音)
- 顎を動かすと痛みがある(顎関節痛・咀嚼筋痛)
- 口が開かない(開口障害)
症状は主に“食べ物をかむ時“・“口を動かす時“などによくみられます。顎が外れてしまうこともあります。
これらの症状は個人差が大きく、どの症状が現れるかは人によって異なります。
放置すると顎の機能が損なわれてしまうことや、重症化してしまうと手術が必要になることもあります。異常を感じたら専門の医療機関(歯科医院)を受診することが重要です。
まずはセルフチェック
以下のチェックリストを参考に、顎関節症のセルフチェックをしてみましょう。
◻ 人差し指・中指・薬指の3本を縦に揃えて口に入れることが難しい口の開閉時に音がする
◻ 物をかむ時、こめかみや耳の周辺に痛みがある
◻ 顎を動かすと痛みがある
◻ 顎が外れることがある
◻ 口をスムーズに開閉できない
◻ 口を大きく開けた時に上下の顎が曲がっている
これらの症状がみられる場合、顎関節症である可能性が高いです。早めに歯科医院を訪れることで、適切な治療を受けることができます。症状を放置すると、さらに症状が悪化することがありますので、気になる症状があれば、早めに専門の医療機関(歯科医院)を受診しましょう。
顎関節症の原因
顎関節症の発生原因は多岐にわたり、複数要因が複雑に絡み合っていると考えられています。
主な原因として、
- 歯ぎしりや噛み合わせの問題
- 食いしばり(顎に負担がかかる)
- 頬杖の習慣(かみ合わせに影響が出て顎関節症のリスクを高める)
- うつ伏せでの睡眠(力がかかり、かみ合わせに影響が出て顎関節症のリス クを高める)
- ストレス(ストレスが食いしばりを引き起こし、顎に負担がかかる)
- 姿勢の悪さ(かみ合わせに影響する)
などがあります。これらの要因が組み合わさることで、顎関節や周囲の筋肉に過剰な負担がかかり、症状を引き起こすと考えられています。
交通事故やスポーツなども、顎関節症の発症に影響を与えることがあります。
放置するリスク
顎関節症を放置すると、顎の問題だけでなく、全身にさまざまな影響が及びます。
具体的には、以下のような症状があげられます。
- 頭痛や顔周辺(目、鼻、耳)の痛み
- 肩こり
- 腰痛
- 手足の痺れ
- めまい
- 眼精疲労
顎の局所的な炎症にとどまらず、進行して全身に広がると、上記のような症状を引き起こす恐れがあります。さらに、顎のずれやかみ合わせの悪化により、長期的な骨格の歪みが生じることもあります。
日常生活における不快感や、健康問題が悪化する可能性があるため、顎関節症の初期症状を感じたら、放置せずに歯科医院を受診するようにしましょう。
顎関節症の治療の流れ
原因と改善方法を導き出すために、顎関節の動き・開口量・かみ合わせの状態を調べるなど、精密検査を行います。
検査・原因の特定
1.問診
まず、痛みの場所、症状の発生時期、日常生活での顎の使い方(例えば、歯ぎしりや食いしばりの癖があるか)などについて詳しく確認します。これにより、症状の背景や生活習慣が明らかになるためです。
2.視診と触診
歯科医師が顎の動きを観察し、顎を動かす際の音の有無や痛みの箇所を確認します。また、顎周囲の筋肉の緊張状態もチェックします。
3.精密検査
原因を特定し、適切な治療法を決定するために、レントゲンやMRI、CTスキャンなどの画像診断を行います。これによって顎骨の状態や顎関節の位置関係、筋肉や靭帯の状態を詳しく把握することができます。
4.治療計画
検査結果をもとに、歯科医師が治療計画を提案します。
治療方法には、物理療法(温熱療法、超音波療法など)、装着器具(マウスピースやスプリント)の使用、薬物療法、必要に応じて外科的介入なども含まれることがあります。
軽度の場合の治療
軽度の顎関節症の場合、治療は通常、症状の緩和を目的として行われます。
1.痛み止めの処方
炎症と痛みを軽減するために、痛み止めが処方されます。
2.顎のマッサージ
顎周りの筋肉をゆっくりと優しくマッサージすることで、筋肉の緊張を和らげることができます。
マッサージの方法は以下の通りです。
人差し指と中指を、痛みのあるところに当てます。側頭筋ならこめかみ辺り、咬筋なら耳と頬の間に人差し指と中指を当て、円を描くように指を動かします。
※専門の理学療法士やマッサージ師の指導が必要な場合もあります。
3.安静の保持
顎に負担をかけないよう、適切な休息を取りながら、硬い食べ物を避けたり、大きく口を開けることを控えたりすることが重要です。これらの対策により、軽度の顎関節症でも日常生活における症状を最小限に抑えることが可能です。
中度・重度
中度から重度の顎関節症の場合、原因や症状に応じた治療方法が必要です。
1.かみ合わせの調整
奥歯でかみ合わせた時、前歯がかみ合わない“開咬“・かみ合わせが深い“過蓋咬合“・かみ合わせに左右のずれが生じている“交叉咬合“は、顎に負担をかけ、顎関節症の原因となることがあります。矯正治療などにより、これらの歯列不正やかみ合わせを調整することで、顎への負担が減り、顎関節症の症状緩和につながることがあります。
2.マウスピースの装着
マウスピースを装着することで、夜間の歯ぎしりや食いしばりによって生じる顎関節や筋肉への負担を軽減させたり、顎を正しい位置に保つことができます。
歯科医院に来院していただき、歯形をとりマウスピースを作成し、装着します。顎関節への圧力が軽減されることで、痛みが緩和されます。
3.外科的治療
他の治療が効果を示さない重度の場合、外科的処置が必要となることがあります。これには、顎関節の再構成、損傷した組織の除去、または人工関節の挿入などが含まれます。
これらの治療方法を適切に選択し実施することで、顎関節症の症状が改善され、日常生活の負担が軽減されます。そのためには、歯科医師による正確な診断と、一人ひとりに合った治療計画が重要です。したがって、専門の歯科医師による詳細な評価と綿密な治療計画が必要です。
顎関節症かも?と思ったら、ひだまり歯科医院へご相談ください
顎関節症は、そのまま放置していても症状が自然に改善することは期待できません。初期段階で適切な対応を行わないと、症状が悪化し、全身に影響を及ぼす可能性があります。たとえ軽度の症状であっても放置してしまうと、継続的な痛み・違和感、日常生活の質の低下、顎機能障害の進行を招いてしまうため、早めに専門の医療機関(歯科医院)を受診しましょう。
歯科医院では、専門の知識を持った医師が症状の原因を特定し、あなたに合った治療方法を提案します。
症状が軽いうちに治療を開始することで、症状の悪化を防ぐことができます。どんな小さな症状も見逃さず、お気軽にご相談ください。