親知らずをなんとなく放置している方へ。抜いた方が良い親知らずの特徴とは?
監修:歯科医師 高島 光洋
「親知らずは抜いたほうが良い」と聞くけれど、できるなら歯を抜く痛みは避けたいものですよね。しかし親知らずの状態によっては、放置することで悪化してしまうことも…。今回は、抜いた方が良い親知らずと、放置するデメリットについてお話していきます。
1.あなたの親知らずはどんなタイプですか?
2.抜いた方が良いのはこんな親知らず
2-1抜いた方が良いケース
2-2抜かなくても良いケース
3.親知らずを放置するリスクとは?
3-1隣り合う歯の虫歯や歯周病が進行する原因になる
3-2一度でも歯茎の腫れや歯の痛みが生じると、何度も炎症を繰り返しやすい
4.安全な親知らずの抜歯のために
4-1親知らず抜歯の注意事項
4-2抜歯が必要か、まずは歯医者さんへ相談を
あなたの親知らずはどんなタイプですか?
親知らずは前歯から数えて8番目にあり、第三大臼歯と呼ばれています。
通常は上下左右に1本ずつ、計4本の親知らずがありますが、個人差もあるので親知らずが無い方もいらっしゃいます。
親知らずの生え方には主に3タイプあります。
- まっすぐしっかり生えている
- 一部だけ見えていたり、斜めに生えている
- 完全に埋まっている
親知らずがあるからと言って、必ずしも抜歯が必要になる訳ではありません。
ではどのような親知らずは抜いた方が良いのでしょうか?
抜いた方が良いのはこんな親知らず
そのまま残しておくことで「お口のトラブルにつながる親知らず」は、抜歯をおすすめします。きちんと歯として機能していたり、病気のリスクが無ければそのまま親知らずを残しても良いでしょう。
抜いた方が良いケース
- 一部だけ歯茎からでている、斜めに生えている
- 歯茎が腫れたり歯の痛みがおきている
- 完全に埋まっていても、顎の骨の内部に嚢胞(のうほう)ができている
- かみ合わせがあっていない(上のみ、下のみ親知らずが生えきっている)
- 歯の矯正治療を予定している
親知らずがすでに虫歯や歯周病になっている、もしくは、そのリスクが高い場合は抜いたほうが良いでしょう。
親知らずはお口の一番奥にあり、歯磨きやフロスでのお手入れがとても難しいです。
とくに親知らずが斜めに生えている場合は、隣り合う歯との間や歯茎に汚れが溜まりやすくなります。
お手入れが不十分のままでは治療をしても再発を繰り返すことも多く、隣り合う歯にも悪影響を及ぼしてしまいます。
抜かなくても良いケース
- 親知らずがまっすぐに生えていて、他の歯と同じように機能している
- 虫歯や歯周病のリスクがなく、プラークコントロールがきちんとできている
- ブリッジの支えになっている
- 完全に埋まっていて、歯周病のリスクがない
ただし生えきっている親知らずの場合、「抜歯の必要がないから」と放置することは避けましょう。定期的に虫歯や歯周病が進行していないか、歯医者さんでチェックをうけることが大切です。
親知らずを放置するリスクとは?
隣り合う歯の虫歯や歯周病が進行する原因になる
歯茎から半分だけ生えている親知らずや、斜めに生えている親知らずは、磨きにくいためプラークが溜まりやすい状態です。歯と歯の間が虫歯になっていたり、付着したプラークによって歯茎が腫れたりすることがあります。
他の歯まで治療が必要になったり、最悪の場合は抜歯が必要になってしまう…ということは出来れば避けたいものですよね。
一度でも歯茎の腫れや歯の痛みが生じると、何度も炎症を繰り返しやすい
ストレスや疲れで抵抗力が落ちたり、ホルモンバランスが崩れることで、ある日突然激しい痛みに襲われたという方もいらっしゃいます。
特に女性は妊娠中や産後に悪化することもあるため、早めに処置をすることをお勧めします。
「親知らずが痛くない=問題がない」とは言い切れません。気付かないうちに状態が悪化していることもあります。
つまり、親知らずを放置していても、あなたにとって良いことなんて一つもないのです。
安全な親知らずの抜歯のために
抜歯後の痛みを最小限に、傷口が順調に回復するために気を付けていただきたいことがいくつかあります。
親知らず抜歯の注意事項
①抜歯した当日は、お酒・運動・長風呂といった血行が良くなることは避け、できるだけ安静にしましょう。
②親知らずを抜歯した後、2~3日は痛みや腫れなどの症状が続きますが次第に落ち着いていきます。
痛みが出たら痛み止めを服用しましょう。
ただし、痛みがどんどん強くなる、1週間以上痛みが続く場合は、一度抜歯した歯医者さんを受診しましょう。
③強くブクブクとうがいをせず、軽く口をゆすぐ程度にしましょう。抜歯した周辺の歯磨きは優しく行なってください。
抜歯が必要か、まずは歯医者さんへ相談を
親知らずは必ずしも抜かなければいけない、ということはありません。
しかし、「痛みがないから」「我慢すればやり過ごせる痛みだから」「そんなに気にならないから」と放置していたら、激しい痛みと歯茎が腫れて慌てて歯医者へ行ったという方もいらっしゃいます。
親知らずを抜いた方が良いかどうか判断するには、お口の状態を見極めるための検査が必要です。まずはあなたの親知らずの状態を確認してみましょう!