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総入れ歯が外れやすい!その原因と対策について

監修:歯科医師 高島 光洋


総入れ歯

総入れ歯が外れやすくてお困りの方へ。この記事では、入れ歯が外れる原因についてわかりやすく説明し、どうすれば外れにくくできるのか解決策についてもご提案いたします。入れ歯は作って終わりではありません。歯茎の状態は日々変化しやすいので、歯科医院での定期的なチェックと調整が必要になることもあります。お口の状態に合わせながら調整を行い、少しずつ使いやすいようにしていきましょう。

総入れ歯が外れてしまう理由

食事や会話の最中に入れ歯が外れてしまうと、日常生活はもちろん、友達と一緒にお食事することさえも困ってしまいますよね。ご自身の歯型をとって作製された入れ歯なのに、なぜ外れるのでしょうか?
総入れ歯は、歯茎へ吸着することで固定されます。そのため、入れ歯を作る際にはお口の中の状態を細かく再現した模型が必要です。型どりによりお口の模型を作製し、歯科技工士が患者さん専用の入れ歯を作製します。しかし、このように精密に作製された入れ歯であっても外れてしまうことがあり、それにはいくつかの原因が挙げられます。その原因について具体的にお伝えします。

入れ歯のサイズ

入れ歯がお口に対して大きすぎたり小さすぎたりする場合は外れやすくなります。お口の組織には、比較的硬く動きにくい歯茎部分と、うごきやすい粘膜部分があります。模型上のみでは、歯茎と粘膜の境目がわかりにくいのが現状です。総入れ歯の縁の部分が少し大きいと、粘膜部分に当たって外れやすくなります。そのため、入れ歯完成後、実際に患者さんに装着した時に粘膜に当たって入るようであれば、縁を少し削って入れ歯の縁が粘膜部分に当たりにくいように調整します。

逆に、入れ歯が小さめだと、歯茎に接触する面積が少なくなるため、吸着力も小さくなり、外れやすくなります。この場合は、入れ歯の材料を盛り足すことで、大きさを調整することができます。

噛み合わせ

噛み合わせの正確さも非常に重要です。入れ歯は、失った歯の代わりとしての役割を果たしているため、食事や会話中に正常に機能することが必要となります。もし、入れ歯のかみ合わせのバランスが悪くて一部分にのみ負荷がかかってしまう状態だと、口の中で入れ歯が安定せず、簡単に浮いたり外れたりする原因になることがあります。

歯茎の変化

入れ歯の使い初めは、比較的、歯茎は柔らかい状態です。入れ歯を使用していくと歯茎が引き締まって少しずつ硬くなってきます。歯茎が変化することにより、徐々に入れ歯が合わなくなり、外れやすくなることもあります。この場合は、歯茎の状態が安定するまでは、入れ歯の裏に柔らかい材料を流し込んで固めることで、歯茎の状態に合うように入れ歯を調整します。必要であれば、定期的に何回かこの処置を繰り返し行います。入れ歯の裏に流し込む材料は柔らかくて長期間の使用に不向きなので、歯茎が安定し入れ歯が使いやすい状態になったら、再度入れ歯を作り治すことで患者さんに合った入れ歯をお渡しすることができます。

歯周病などで歯を失ってしまい、総入れ歯を使用される方は、もともと骨が少ない状態になっています。その状態では、歯茎も痩せやすい状態になっているので、入れ歯が安定しづらく外れやすくなることもあります。そのため、入れ歯の調整頻度が多くなることがあります。

金具の緩み

入れ歯は大きく分けて、総入れ歯と部分入れ歯があります。総入れ歯は、上下どちらか、あるいは両方の全ての歯を補うための入れ歯で、部分入れ歯は部分的に失った歯を補う入れ歯になります。
総入れ歯は粘膜との吸着力によって固定されます。一方で、部分入れ歯は残存するご自身の歯に針金のような金具をかけて固定します。ただし、この金具についても注意が必要です。最初はピタッとフィットしていた金具が、日々の取り外しなどの衝撃で緩んだり形が変形したりすることがあります。

総入れ歯を外れないようにする方法

まずは、入れ歯が外れてしまう原因を知ることが重要です。その原因によって、対処方法も変わります。基本的には、外れやすくなった入れ歯を安定させるためには、歯科医院での調整や修理が必要です。入れ歯の状態によっては、入れ歯の再作製や金具の交換をしなければいけないこともあります。この場合、治療に時間や回数がかかるケースが多いため、歯科医院にすぐに行くことができない時は入れ歯安定剤を使用して対策することも一つの手です。
入れ歯安定剤は薬局で手軽に購入できますが、あくまでも一時的なもので、長期的に使用するとお手入れもしづらくなり衛生状態を保ちにくくなる場合があります。そのため、安定剤の使用で留まらずに早めに歯科医院で診てもらいましょう。また、吸着力に問題がない場合は、安定剤では改善されないことがあります。

外れやすい入れ歯を使い続けるデメリット

1、粘膜が傷つく
合わない入れ歯はしっかりと口の中で固定されず、食事や会話の最中にずれやすくなります。このことが原因で、粘膜が擦れて傷がつき、痛みが生じ口内炎ができることがあります。これを「義歯性口内炎」と呼びます。口内炎が大きくなると、入れ歯を装着するだけでも痛みがでてしまうこともあります。義歯性口内炎は、薬では治りにくく、入れ歯の修理や調整などの根本的な解決が必要になります。

2、残存歯に負担がかかる
部分入れ歯を使用する際、残存歯に金具をかけて固定します。この金具が装着されることにより、残存歯は他の歯よりも大きな力を受けやすくなります。入れ歯がグラついたり、外れやすかったりして安定しない場合、更に大きな負荷がかかります。このため、残存歯の寿命が縮まる可能性が高まります。

3、顎関節症になる
入れ歯の不具合により噛み合わせが悪くなると、力が片側だけに集中しやすくなります。このような不均衡な力のかかり方は、顎関節に過度な負担を与えてしまいます。結果として、顎関節症を引き起こすことがあります。

4、顎骨が痩せる
自然な歯が存在すると、噛む活動によって顎の骨に刺激が加わり、骨を保つことができます。しかし、入れ歯では顎の骨に直接的な刺激が伝わりにくいため、顎骨が痩せやすくなることがあります。特に合わない入れ歯を使用していると、噛む力が弱まり、骨がさらに痩せやすくなってしまいます。

入れ歯は作製後も、定期的な確認・調整が必要です

一度作った入れ歯はずっと使えると思ってしまうかもしれません。しかし、歯茎や顎骨は時間とともに変化します。そのため、定期的な確認や調整が必要になります。入れ歯が以前よりも外れやすくなったと感じた時は、そのまま使用し続けると他の歯や歯茎に負担をかけやすくなってしまいます。何か違和感を覚えたら、歯科医院で確認してもらい、入れ歯の調整を行ってもらうことが大切です。

特に、入れ歯のを使い始めは、歯茎の状態が変化しやすいため、数週間・数カ月間毎の調整が必要になることがあります。その場合は、歯科医師の指示に従って通院するようにしましょう。

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