歯石取りで血だらけになるのはどうして?その理由と対処法
監修:歯科医師 高島光洋
「歯科医院で歯石取りをした時に、お口の中が血だらけになった!」というお声をよく耳にすることがあります。
出血をしていると「歯茎を傷つけているのでは?」と不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、実は歯石取りをした時に出る出血は歯茎の状態をあらわすひとつのサイン。ご自身の歯茎の状態を把握する目安になります。
今回は、歯石取りをする際の出血する理由や対処法についてお伝えしていきます。
1.歯石とは?歯石取りとは?
1-1.取りやすい歯石
1-2.取りにくい歯石
2.歯石取りで出血する理由
2-1.傷が原因の出血ではない
2-2.出血は歯茎からの危険信号
3.出血はどのくらい続くのか?
3-1.出血が収まらない時の自宅でできる対処法
4.歯石取りでの出血は炎症のサイン。炎症が落ち着けば出血しなくなる
歯石とは?歯石取りとは?
磨き残した歯の汚れ(歯垢・プラーク)は、唾液中の成分と結合して硬くなります。これが歯石です。この歯石を放置すると歯茎の炎症や歯周病の進行につながる恐れがあるため、早めに取り除かなくてはなりません。
しかし、残念ながらご自宅での歯磨きでは歯石を取り除くことはできません。歯石は歯科医院で専門の器具を使用して除去する必要があります。
また歯石には歯茎の上にできる取りやすい歯石、歯茎の下にできる取りにくい歯石があります。
取りやすい歯石
固まって間もない歯石や歯茎より上に付着している歯石は、比較的柔らかく除去しやすい歯石です。色は白色または黄色で、下の前歯の裏側にもっとも付着しやすいです。
取りにくい歯石
歯茎よりも下に付着する歯石は、滲出液(炎症によって組織や細胞からにじみ出てくる液体)や血液の影響で黒褐色になることがあります。この歯石は白い歯石に比べてかなり硬く、一度で全て除去することはできません。付着して長期間経った歯石も同様で、数回に分けた処置が必要になります。
歯石取りで出血する理由
上記のように歯石は付着する場所などによって、固く取りにくいものがあります。
専用の器具で歯石を取り除いていきますが、この歯石取りの際に出る出血は決して歯茎を傷つけているわけではありません。歯茎の状態が出血に大きく関係しているのです。
傷が原因の出血ではない
「出血=傷がついた」と思われがちですが、実は歯石を取るときの出血の原因は「歯茎の炎症」であることがほとんどです。
歯石が長期間付着していると、歯茎に炎症が生じます。炎症している歯茎はとても敏感で触れるだけでも出血や痛みを伴うことがあります。一方で健康な歯茎は、触れるだけで出血することはありません。つまり、歯茎からの出血は、歯茎が炎症を起こしていることを意味しています。
出血は歯茎からの危険信号
歯茎からの出血は炎症のサインですが、これは歯石取りのときに限ったことではありません。
日常の歯磨きにおいても同じことが言えます。もし歯磨きで出血や痛みを伴うようなら、歯茎が炎症を起こしているととらえましょう。
歯茎の炎症は歯周病の初期の症状です。歯周病は自覚症状が少なく、気づかないまま進行してしまいます。そのため出血という重要なサインを見逃さないことが歯周病を予防する上で非常に重要です。
出血はどのくらい続くのか?
たとえ歯石を取ったからといって炎症した歯茎がすぐに治るわけではありません。
歯茎の炎症は数日間かけて徐々に落ち着いていきます。1週間程度は様子を見る必要があります。
出血が収まらない時の自宅でできる対処法
歯石を除去した後は、再び付着させないように念入りに磨きたくなると思いますが、意識しすぎて力が入ってしまうと逆効果です。歯茎の炎症を早く落ち着かせるためにはやわらかい歯ブラシを用いて優しく磨くように心掛けましょう。
万が一、処置後1週間以上経過しても出血や痛みが続く場合は、早めに歯科医院へご相談ください。
歯石取りでの出血は炎症のサイン。炎症が落ち着けば出血しなくなる
歯石除去時の出血や痛みの原因は歯茎の炎症です。そしてこの炎症の原因は歯石であることがほとんどです。炎症を改善し、歯茎の出血を止めるためには歯石の除去が必要となります。
しかし、一番良いのは炎症を引き起こす原因である歯石を付着させないようにすること。つまり予防です。虫歯・歯周病予防のためにも定期的にクリーニングを行ってお口の中を清潔に保つようにしましょう。
ひだまり歯科医院では、歯石取り・クリーニングご希望の患者様が多数来院しています。歯科衛生士が担当制であなたのお口のクリーニングをさせていただきますのでお気軽にご相談ください。