糸ようじ(フロス)はセルフチェックにも有効!その効果とは?
監修:歯科医師 高島 光洋
歯と歯の間は、目で見て確認しづらいです。いくら歯磨きを頑張っても、汚れがおちているのかわかりにくいですよね。実際、虫歯や歯周病は、歯と歯の間に残ったプラーク(歯垢)が原因になることが非常に多いです。では、歯と歯の間はどうやってケアするのが良いのでしょうか?
今回は、歯と歯の間のケアやセルフチェックに効果的な糸ようじ(フロス)の使い方や注意点についてお伝えします。
1.糸ようじの効果とは?どのくらいキレイになる?
2.糸ようじ(フロス)のQ&A
2-1糸ようじが入りづらい・ひっかかるのはなぜ?
2-2糸ようじが赤くなるのはなぜ?
2-3歯間ブラシと糸ようじ、どちらを使えばいいの?
2-4使用するタイミング・頻度は?
3.糸ようじ(フロス)を初めて使う方へ
3-1糸ようじの正しい使い方
3-2初めてでも使いやすい!おすすめデンタルフロス3選
4.糸ようじは子供から大人まで幅広く使用できます!
糸ようじの効果とは?どのくらいキレイになる?
歯と歯の間の汚れは、目に見えにくく除去しづらいため、虫歯や歯周病のリスクを高める原因にもなります。
歯と歯の間の汚れは、歯ブラシのみのケアだと6割くらいしか除去できません。しかし、歯ブラシに加えて糸ようじやフロスを併用することで、汚れの除去率が高くなり8割~9割くらいまで落とすことができます。
また、フロスや糸ようじを通して、糸が引っかかってくる場合は詰め物の劣化や虫歯、糸に血がついてくる場合は歯茎の炎症が疑われます。このように目に見えにくい歯と歯の間の状態も糸ようじで確認することもできます。
糸ようじ(フロス)のQ&A
糸ようじが入りづらい・ひっかかるのはなぜ?
歯と歯の間に糸を通した時に、糸のひっかかりやほつれがある場合は、初期虫歯が疑われます。また、詰め物のある歯でも、詰め物の経年劣化により詰め物と歯との境目に段差ができたり、その境目から虫歯ができている場合、糸のひっかかり・ほつれ・切れがおきる場合があります。このような場合は、歯科医院で診てもらうことをお勧めします。
糸ようじが赤くなるのはなぜ?
歯と歯の間に通した糸が赤くなっている場合、歯茎が炎症を起こし出血している状態が疑われます。この場合は、炎症があり痛みがあるからといってケアをしないでいると、ますます炎症が強くなります。そのため、多少の出血や痛みがあっても可能な範囲で歯ブラシをあてるようにしましょう。2週間以上経過しても、糸を通して血が付着するようであれば、歯周病が進行していることも考えられます。この場合、一度歯科医院で診てもらうことをおすすめします。
歯間ブラシと糸ようじ、どちらを使えばいいの?
歯と歯の間の隙間が大きめで食べ物が詰まりやすい方は歯間ブラシ、歯と歯の間の隙間が狭い方は糸ようじやフロスがお勧めです。歯間ブラシは隙間の大きさによってサイズが異なります。1番細いサイズで4Sがあります。具体的な選び方として歯間ブラシ4Sサイズが歯と歯の間に入るようなら歯間ブラシ、きつく感じればフロスや糸ようじを選んでみましょう。サイズが合わない歯間ブラシを使用すると、歯茎を傷つけ歯茎が下がってしまう原因にもなります。もし、糸ようじと歯間ブラシで悩まれるようなら、歯科医院で相談するのも良いでしょう。
使用するタイミング・頻度は?
糸ようじやフロスは、歯磨きで全体を磨いた後、補助的に細かい部分を清掃するために使用します。使用するタイミングは就寝前の歯磨き時がおすすめです。使用頻度は1日1回を目安にしていただくとよいです。
歯と歯の間の汚れは、虫歯や歯周病の大きな原因になりやすいです。また、就寝時は唾液の分泌が減少し細菌も増殖しやすいため、虫歯や歯周病のリスクが高まります。そのため、歯ブラシと糸ようじを併用し、なるべくお口の中をキレイにしてから就寝していただくと、お口の中の細菌の増殖を抑えられ、虫歯や歯周病予防に効果的です。
糸ようじ(フロス)を初めて使う方へ
糸ようじの正しい使い方
①歯と歯の間に糸を入れ、前後に小さく動かしながら歯茎近くまで、ゆっくりと挿入していきます。
強く押し込むように入れてしまうと歯茎を傷つけることもあるので力加減に注意しましょう。
②糸ようじを挿入後、片側ずつ歯の側面を上下に優しくこすりながら清掃します。歯と歯茎の境目を清掃する場合は、1~2mmくらいまでに留めましょう。それ以上行うと、歯茎が下がる原因になります。
③糸ようじを外す時も、前後に少しずつ動かしながら抜きます。指に巻き付けて使用するフロスの場合で外すのが難しい時は、片指からフロスをほどき片側から引き抜くと良いです。
糸ようじの使い方を誤ってしまうと、歯と歯の間の隙間を広げたり、歯茎を傷つけたり、歯茎が下がったりする原因になることがあります。一度、歯茎が下がってしまうと、元に戻すのは難しいです。まずは、正しい使用方法を知りましょう。
初めてでも使いやすい!おすすめデンタルフロス3選
DENT.EX ウルトラフロス
初めて使われる方も使いやすい、Y字ホルダー付の糸ようじで、奥歯にも使用しやすいです。
糸部分は繊維が束状になっており、歯と歯の汚れを絡め取ってくれます。滑りもよく歯と歯の間に通しやすいです。材質に特殊な繊維を使用しているため強度も強く、歯ブラシを洗って使う感覚で、使用後は洗って繰り返し使えます。
DENT.e-floss
指に糸を巻き付けて使用するタイプのフロスです。唾液に触れると糸がスポンジ状に膨らむことで、歯と歯の間の清掃効率を高めてくれます。指に巻き付けて使用するタイプは慣れが必要になりますが、ホルダー付タイプよりコストパフォーマンスがよいのでお勧めです。
スーパーフロス
インプラントやブリッジにおすすめのフロスです。フロス端の部分は硬め、真ん中部分は少し太いスポンジ状になっているフロスです。フロス端の部分が少し硬くなっているので、ブリッジの下の隙間からもフロスを通すことができます。また、義歯部分もフロス真ん中のスポンジ部分で清掃できるので清潔に保てます。インプラントは、歯と歯茎の間に汚れが溜まりやすいので、その部分にスーパーフロスのスポンジ部分を入れ込んで清掃するのがおすすめです。
糸ようじは子供から大人まで幅広く使用できます!
糸ようじは、歯と歯の間の汚れをキレイにするだけなく、目に見えない歯と歯の間の状態も確認できる有効な清掃用具です。特に使いやすいのは、手で持ちやすいホルダー型の糸ようじです。全ての歯と歯の間に通しても数分で清掃でき、歯ブラシよりも確実に汚れを落とすことができます。
大人はもちろん、お子さんにも使用できます。糸ようじの種類は多く、嫌がるお子さんでも使用しやすい、フルーツフレーバーの糸ようじもあります。ぜひ、ご家族皆様でご使用ください。
歯科医院の定期健診では、歯磨きのやり方はもちろん、糸ようじなどの歯ブラシとプラスアルファで使用する清掃補助用具についてもご提案させていただいております。お口のケア方法についてお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。