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歯石取りの効果とは?3ヶ月に1回の頻度がおすすめ!

監修:歯科医師 高島 光洋


顎模型とスケーラー

歯石がついても、すぐには症状がでにくいので、歯科医院に行くタイミングを逃している方もいらっしゃるかもしれません。歯石は、歯周病を進行させる原因にもなります。歯周病になっても症状が出にくいこともあるため、さらにタイミングを逃す可能性があります。しかし、早めに治療を行えば、歯茎や歯の周りの組織が改善しやすいです。歯石を見つけたら、まずは歯科医院を受診することをおすすめします。
今回は、「歯石が形成される仕組み」「歯石の原因」「歯石とりの頻度」などについてお伝えします。

歯石が形成される仕組み

歯石は、プラーク(歯垢)が石のように硬くなったもので、表面はザラザラしていて内部は軽石のように隙間が多くあります。その構造が原因で、歯石の表面にプラークが付着しやすく、隙間に細菌が住みつきやすいです。細菌の住処になりやすいことで、歯石が蓄積すると虫歯・歯周病のリスクを高めることになります。歯石の種類は主に2つあります。

●歯茎を境に歯の頭側にできる歯石
専門用語で「歯肉縁上歯石(しにくえんじょうしせき)」といいます。この歯石は、唾液に含まれるカルシウム成分などにより、プラーク(歯垢)が石灰化したものです。色調は、白色~薄黄色です。入れ歯や被せ物にも付着します。比較的付着力が弱いので、歯科専用のスケーラーで除去しやすいです。

●歯茎の中に付着する歯石
専門用語で「歯肉縁下歯石(しにくえんかしせき)」といいます。この歯石は、歯と歯茎の間にある溝の部分(歯肉溝)からしみ出てくる滲出液や血液、プラークが結びつくことで石灰化します。色調は、茶色~黒っぽい色をしています。歯肉縁上歯石よりも硬く、見えにくいため、治療の難易度も高くなり、歯石除去の際には痛みが伴いやすいです。

プラークが歯石に変化し始めるのは4~8時間で、2日後くらいには歯石が形成されます。(ただし、個人差や歯の種類によって歯石になる速度は変わります。)歯石ができるスピードは意外と早いです。

歯石が形成される主な原因について

●磨き残し
磨き残しが多く食べかすが残っている状態だと、その中に含まれる糖分を口の中の細菌がエサにして増殖します。細菌はバイオフィルムと呼ばれるネバネバした膜を形成し、その上にプラーク(歯垢)が形成されます。プラークは、唾液に含まれるカルシウム成分と結びつき石灰化が進むことで、歯石になります。そのため、磨き残しが多いと歯石もできやすくなります。

●唾液の性質
口の中は、基本的に中性(pH6.8~7.0)に保たれています。しかし、唾液の性質がアルカリ性に傾いている方は、歯石ができやすいです。逆に、このような方は虫歯になりにくい傾向にあります。理由は、食事後などにお口の中が酸性になると、その酸で歯が溶けやすくなり虫歯ができやすくなりますが、アルカリ性の唾液により酸が中和され虫歯ができにくくなるからです。唾液の性質が酸性に傾いている方については、歯石ができにくく虫歯ができやすい傾向にあります。

●唾液の分泌量が多い
唾液の分泌量にも個人差があります。唾液の分泌量が多いと、唾液に含まれるカルシウムなどのミネラル成分が原因で歯石ができやすくなります。特に唾液を分泌する唾液腺付近は歯石ができやすいです。唾液腺の中で特に歯石ができやすいのが、舌の下部分にある唾液腺(舌下線)付近の下前歯の裏側と、奥歯の頬側部分にある唾液線(耳下腺)です。歯石は歯磨きでは除去できませんが、歯石が形成される前に、歯磨きでしっかりとケアすることが大切です。

歯石をそのままにしておくリスクとは?

歯を失う原因第1位を知っていますか?実は歯周病なのです!
歯石は歯周病の進行に大きく関係しています。

その理由は、歯石の構造にあります。歯石を顕微鏡で見てみると、軽石のように隙間だらけで、表面がザラザラなのが確認できます。そのため、歯周病菌は歯石に付着しやすく、歯石は歯周病菌の住処となり細菌の増殖を助けます。歯周病菌が増殖すると歯茎は炎症を起こします。
この状態を「歯肉炎」と言います。歯肉炎になると、歯磨きの際に出血や痛みがでやすく、歯ブラシもあてづらくなります。そして、そのまま歯肉炎を放置すると「歯周病」に進行します。

歯石を放置することで、細菌が歯茎内部で増殖すると、歯を支えている骨(歯槽骨)まで溶けていきます。。
歯石の形成、細菌の増殖が繰り返されると、歯茎の中で炎症が広がり、歯槽骨が更に減っていきます。
そうなると、歯を支えることさえ難しくなり歯が揺れ始め、歯が抜けてしまうこともあります。
歯周病は、虫歯と違って痛みが出にくいため、重症化した頃に始めて気づく方もいらっしゃるので要注意です。

歯周病の予防は、定期的にお口のクリーニングを行い、お口の中の細菌の量を減らすことが非常に大切です。歯石が付着している場合は、早い段階で歯石を除去することで歯茎が治りやすくなります。

歯石取りは専門的な技術が必要です!歯科医院で行いましょう

一度ついた歯石は歯磨きでは取れません

歯石はプラークが石灰化し硬くなり、歯への密着度が強くなることで、歯磨きしても取れません。

歯石取り用品が、お店で販売されていることもありますが、歯や歯茎に傷がついたり、歯が必要以上に削れてしまうことや、歯石の取り残しにも繋がります。

歯石取りには、専門的な経験や技術が必要です。そのため、歯石ができた場合は歯科医院で歯石取りを行ってもらいましょう。

歯科衛生士による専門的な治療について

歯石取りは、主に歯科衛生士が行う治療で、高い技術が必要になります。歯科衛生士養成施設でも歯石取りの実技試験が行われるくらい重要な技術です。

最初に、奥歯の見えにくい部分や歯茎の内部に付着した歯石を探知し、歯茎の炎症や歯周病がどのくらい進んでいるかを検査により確認します。予め検査を行っておくと、歯石取り後に歯茎の炎症などが改善しているか、数値化して患者さんにお伝えすることもできます。

検査により歯や歯茎の状態を把握してから、スケーラーなどの専用の器具で効率的かつキレイに歯石を除去します。

もし、検査中に治療が必要な虫歯がみつかっても、歯石取りと虫歯治療を並行して進めることもできます。

歯科医院で歯石取りを行うことは、歯周病や虫歯などあらゆる口腔トラブルを防ぐことにも繋がります。

歯石取りの効果と通院頻度・費用について

通院頻度の目安は3ヶ月に1回

クリーニング後は、お口の中の細菌数が激減します。しかし、歯周病治療で口の中の細菌をゼロにすることは難しく、そのまま放置してしまうと細菌の数は元の状態に戻ってきます。お口の状態が元の状態に戻り始めてくる時期がだいたい3ヶ月くらいになります。3ヶ月後くらいに再度来院していただければ、歯茎に炎症があったり、プラーク(歯垢)が付着していても、歯周病が進行するリスクは低いというデータがあります。そのため、クリーニングを行う間隔は3ヶ月が基準となります。

歯磨きがしっかりできている方、虫歯のリスクが低い方、歯茎の炎症がみられない方などであれば、間隔が長くなることもあります。逆に、磨き残しが多い方、歯茎に炎症がみられる方、治療した歯が多い方などは、間隔が短くなることもあります。

患者さんのご都合もありますので、お口の状態とご都合に合わせてクリーニングの間隔をご提案させていただきます。

保険診療と認められる?費用目安について

歯石取りは、歯周病を改善するための治療と認められるため、保険診療となります。

初めての受診は、初診となります。初診では、お口全体の状況を把握できるように、お口の内部を診られるレントゲン写真撮影、虫歯のチェックや歯茎の検査なども行われます。そのため、「初診料」「撮影料」「検査料」なども含まれます。医療費3割負担の方においては約3,000〜4,000円くらいが費用の目安となります。
(予防や審美に関して行われる治療は、保険診療としては認められません)

より精密で専門的な技術が必要になる場合は、保険外診療でクリーニングを行っている歯科医院もあります。

歯石予防に効果あり!日々のケアへのご提案

歯石は歯磨きで付着しにくくすることができます。歯磨きを一生懸命していても、磨き残しがあると、その成分をもとに細菌がプラークを作り出し、時間の経過とともにプラークが歯石へと変化します。そのため、歯石予防には磨き残しを減らすことが重要になります。

磨き残しができやすい部分や正しい歯磨きの力加減などを知っていただき、余力があれば歯ブラシと併用してフロスや歯間ブラシなどご自身にあったケア用品を使用していただくと、さらに効果的です。

歯科医院でのクリーニングでは、ご自身に合った歯磨きのやり方についても、お口の状態をもとにご提案させていただくこともできます。ぜひ、日々のお口のケアに役立てていただきたいです。

定期的なクリーニングでお口の健康を守りましょう

定期的にクリーニングを受けていただくと、歯の寿命も変わってきます。

「治療もクリーニングも受けなかった方は10年間で約3本の歯を失い、治療は受けたが定期的なクリーニングを受けなかった方は約2本の歯を失い、治療も定期的なクリーニングも受けた方は約1本の歯の喪失で済んだ」
という1つのデータが報告されており、定期的なクリーニングの重要性がわかっていただけるかと思います。

クリーニングに何気なく通っている方もいらっしゃるかもしれませんが、10年後、20年後など将来的なことを考えると、歯を長く残すためには非常に価値のあることなのです。今は、お口の中が健康な状態であっても、生活習慣や加齢などによりお口の状態は変化しやすいです。

歯科医院にしばらく行かれていない方は、一度、歯科医院への受診をおすすめします。

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