歯ブラシには寿命がある。交換のタイミングとその理由
監修:歯科医師 高島光洋
ご自身が使っている歯ブラシをじっくりと観察したことはあるでしょうか?
毎日何気なく使っていて一見まだ使えそうな歯ブラシでも、すでに歯ブラシとしての寿命を迎えてしまっているかもしれません。
実は同じ歯ブラシを長期間使用することには隠れたリスクが存在します。今回は歯ブラシを交換するべきタイミングとその重要性についてお伝えしていきます。
1.「磨きにくい」という「感覚」だけで歯ブラシを交換していませんか?
2.「まだ使える」は誤解かも?歯ブラシの定期的な交換の重要性
2-1.歯ブラシの劣化が及ぼす影響
2-2.雑菌が繁殖している
3.清潔な歯ブラシでお口の健康を守る
「磨きにくい」という「感覚」だけで歯ブラシを交換していませんか?
皆さんは最後に歯ブラシを交換したのがいつだったか覚えていますか?
「気になったときに交換してるから覚えていない」という方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、歯ブラシは1ヶ月に1度のペースで交換した方が良いとされています。
「1ヶ月は早い」「もっと使えるのでは?」と思えるかもしれません。しかし、あの小さくて細かいブラシを毎日2回から3回使うことを考えてみてください。見た目ではわかりにくくてもブラシが劣化してしまっていて、すでに寿命を迎えていることもあるのです。
「まだ使える」は誤解かも?歯ブラシの定期的な交換の重要性
まだ使えそうな歯ブラシでも、1ヶ月で交換した方が良い理由として、「歯ブラシの寿命」と「雑菌の繁殖」があげられます。
歯ブラシの劣化が及ぼす影響
古くなった歯ブラシは、毛先が広がり弾力を失って柔らかく曲がりやすくなります。この消耗は、歯垢除去率を20〜40%も低下させると言われています。
外見上はまだ使えそうでも、実際は歯の汚れを十分に取り除くことができず、虫歯や歯周病のリスクを高めてしまう恐れがあるのです。
また、歯ブラシの毛先がすぐに広がってしまう人は、歯を磨く力が強すぎる傾向があります。力を入れすぎると歯茎を傷つけてしまう恐れがあるので力の加減に注意が必要です。
もし使っている歯ブラシの毛先が広がってしまったら、1ヶ月経っていなくても交換するようにしましょう。
雑菌が繁殖している
お口の中には、常在菌と呼ばれる菌が約100億個存在していると言われています。
歯磨きをすることで、これらの菌は歯ブラシに付着し、使用後にどれだけ歯ブラシを洗浄しても完全に取り除くことはできません。結果として、1億個以上の細菌が付着した歯ブラシで再び歯を磨くことになります。歯ブラシをできる限り清潔に保つためには、洗い方と保管方法が重要です。
使用した歯ブラシを水で洗った後そのまま放置していませんか?湿った環境は雑菌の繁殖を促します。そのため、洗った後は歯ブラシをよく振って水分を切り、しっかり乾燥させて通気性の良い場所で保管しましょう。
お口を清潔に保つために歯磨きをしているのに、歯ブラシの状態が悪いせいでかえって雑菌を増やして虫歯や歯周病、口臭の原因を作ってしまっては意味がありません。
「まだ使える」という考えではなく、機能性と衛生面を考慮して、定期的に歯ブラシを交換することをお勧めします。
清潔な歯ブラシでお口の健康を守る
お口の中を清潔に保つ上で毎日の歯磨きは欠かせません。
その効果を最大限に発揮するためには状態の良い歯ブラシを使用する必要があります。
正しい洗い方や保管方法に気をつけながら、1ヶ月に1度は歯ブラシを交換するようにしましょう。